
豊島区で民泊・旅館業はできる?民泊120日への改正予定と簡易宿所の対面鍵渡し
豊島区では、民泊新法(住宅宿泊事業)と旅館業(簡易宿所)の両方で規制を強める動きが進んでいます。区が公表した資料によると、2026年12月16日の施行を予定する条例改正で、民泊の年間営業日数は180日から120日に減り、営業できる期間も夏休みや年末年始などに集中させる内容になっています。
この改正は、これから始める施設だけでなく、すでに営業している施設にも適用される予定です。豊島区で民泊を運営している人、運営中の物件を買おうとしている人は、改正後の日数で収支を見直す必要があります。
旅館業でも、現在求められているフロントの設置と対面での鍵渡しに加えて、2026年内に常駐が必要になる見込みです。豊島区は国家戦略特区民泊の実施区域ではないため、選べるのはこの2つの制度です。
本記事の規制情報は、当社が保健所への確認と区の公開資料をもとに整理したものです(2026年7月時点)。
豊島区の民泊・旅館業規制 早見表
| 区分 | 項目 | 内容 |
|---|---|---|
| 旅館業(簡易宿所) | フロント(玄関帳場) | あり |
| 駆けつけ要件 | 10分以内 → 常駐(2026年内) | |
| 近隣への周知 | チラシ(ポスティング) | |
| 鍵の受け渡し | 直接対面 | |
| 民泊新法(住宅宿泊事業) | 区の上乗せ条例 | 【2026/12/16施行】年間営業日数180日→120日に制限。営業可能期間は7/1〜8/31、12/20〜1/10等に集中。既存施設にも遡及適用 |
民泊新法(住宅宿泊事業):年間120日への改正予定
民泊新法は届出制で、全国一律の上限は年間180日です。家主不在型は住宅宿泊管理業者への委託が必要です。豊島区はこの上限を区の条例でさらに絞る予定で、区の資料(パブリックコメント用の骨子)に示された内容は次のとおりです。
| 項目 | 改正後の内容(2026年12月16日施行予定) |
|---|---|
| 年間の営業上限 | 180日(全国ルール)→ 120日 |
| 営業できる期間 | 7月1日〜8月31日、12月20日〜1月10日などに集中 |
| 対象となる施設 | 新規だけでなく既存の施設にも適用 |
資料に例示されている2つの期間は、夏が62日、年末年始が22日で、合わせて84日です。残りの36日分がどの時期に割り当てられるかは、確定した条例の内容を確認してください。
収支への影響は日数の減り方以上に大きくなります。営業できる時期が繁忙期に寄るので単価を上げやすい面はありますが、清掃や運営の人手もその時期に集中させる必要があり、それ以外の時期は物件が空いたままになります。借りて転貸する形の場合、家賃は12か月分かかるのに対して売上が立つのは年の3分の1です。
パブリックコメントを経て内容が修正される可能性もあります。最新の施行状況と経過措置の有無は、区の担当課で確認してください。
旅館業(簡易宿所):フロントと対面の鍵渡しが前提
旅館業は許可制で、年間の営業日数に上限はありません。民泊新法の日数が120日に絞られると、豊島区で通年営業できるのは旅館業だけになります。ただし運営体制の要件は軽くありません。
- 玄関帳場(フロント):設置が必要
- 鍵の受け渡し:宿泊者に対面で手渡す。キーボックスやスマートロックによる非対面の受け渡しは想定されていない
- 駆けつけ:現在は10分以内。保健所に確認したところ、近くの賃貸オフィスを駆けつけ拠点として使うことはでき、24時間対応できる体制が求められる
- 近隣への周知:チラシのポスティングが基本。区内の場所によっては説明会の開催などが必要になる
対面での鍵渡しが必要なので、チェックインの時間帯には拠点から人が出向くことになります。深夜の到着にも応じるなら、拠点は施設のすぐ近くに置くほうが回しやすくなります。
さらに、2026年内の条例改正で常駐が求められる見込みで、施設内に常駐室を設ける必要が出てくる見込みです(本記事の調査時点)。常駐室の分だけ客室が減り、人件費が固定費に加わるので、小規模な施設ほど採算は厳しくなります。改正の時期と内容は区で確認してください。
豊島区の物件相場(2026年8月)
| 指標 | 豊島区 | 23区での順位 |
|---|---|---|
| 売出中の戸建 価格(中央値) | 9,480万円(61件・延床86㎡) | 高い方から10位/21区 |
| 賃貸戸建 募集賃料(中央値) | 月29万円(49件・78㎡) | 高い方から6位/21区 |
| 一棟収益物件 表面利回り(中央値) | 4.8%(97件) | 高い方から11位/23区 |
出典:Urbalytics マーケットレポート(豊島区)。2026年8月に売出・募集されていた物件の中央値です。件数が10件に満たない指標は表示していません。
豊島区の賃貸戸建の募集賃料は23区で上位にあり、借りて転貸する形の民泊では固定費が高めになります。上で見たとおり、改正後の民泊新法では売上が立つ期間が年の3分の1程度に限られるため、転貸型の民泊新法は収支を合わせにくくなる見込みです。
戸建の売出価格と一棟収益物件の表面利回りはどちらも23区の中位です。所有して旅館業で通年営業するか、普通賃貸で回すかを比べる場合は、フロントと常駐の人件費を入れたうえで賃貸の利回りを上回るかを試算してください。
改正を見越して物件を検討するときのチェックポイント
- 民泊新法で検討するなら、年間120日・期間集中の前提で収支を試算する
- 運営中の民泊物件を購入する場合は、改正後も同じ売上が続く前提で価格を判断しない
- 旅館業なら、用途地域を都市計画図で確認する。住居専用地域や工業・工業専用地域では営業できず、第一種住居地域は3,000㎡以下に限られる
- フロントと常駐室を設けても客室数が確保できる床面積かを先に見る
- 住宅を転用する場合は、用途変更の確認と建築基準法・消防法への適合にかかる費用を見積もる
- 区分マンションなら管理規約、賃貸なら貸主の転貸承諾を書面で確認する
民泊の日数が絞られる区では、繁忙期に集中して稼ぐ運営と、旅館業で通年営業する運営のどちらを取るかで必要な体制が大きく変わります。清掃・ゲスト対応・鍵の受け渡しまで含めた運営の組み方は、民泊運営代行のページで紹介しています。
よくある質問
すでに届出済みの民泊も120日の制限を受けますか?
区の資料では、改正後の制限は既存の施設にも適用される内容になっています。施行は2026年12月16日の予定ですが、パブリックコメントを経て修正される可能性もあるため、確定した内容を区の担当課で確認してください。
豊島区の簡易宿所でキーボックスは使えますか?
使えません。豊島区ではフロントの設置と、宿泊者への対面での鍵渡しが求められます。駆けつけ拠点として近くの賃貸オフィスを使うことはできますが、24時間の対応体制が必要です。
旅館業の常駐はいつから必要になりますか?
本記事の調査時点では、2026年内の条例改正で常駐が必要になる見込みとされていました。施行日や既存施設の扱いは、許可申請の前に区で確認してください。
問い合わせ先・参考資料
- 参考資料:豊島区の公開資料
ほかの区と比較する
条例・運用は改正や保健所の判断で変わることがあります。物件の取得や申請の前に、管轄の保健所へ事前相談してください。
アイキャッチ写真:MaedaAkihiko / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0、トリミング)
MARKET DATA
豊島区の不動産相場
2026年8月時点、豊島区の戸建の売出価格の中央値は9,480万円(データ61件)で、東京都全体(5,499万円)の約1.7倍です。一棟収益物件の期待利回りの中央値は4.79%(売出価格の中央値2億2,050万円、データ97件)で、東京都全体(5.03%)より0.24ポイント低い水準です。
出典:Urbalytics マーケットレポート(豊島区)。売出情報(掲載中の物件)の月次中央値で、成約価格ではありません。期待利回りは年間想定賃料 ÷ 売出価格(表面利回り)です。
この記事について
- 執筆
- TLL編集部
- 運営
- TLL合同会社宅地建物取引業 東京都知事(1)第108202号住宅宿泊管理業 国土交通大臣(01)第F03424号
記事中のデータは出典と集計時点を明記しています。相場や制度は変わることがあるため、個別の判断は最新情報と専門家へのご相談のうえで行ってください。











