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都心5区・城東・城西・城北・城南で比べる一棟利回りと賃料【2026年9月】

羅 興开新規事業

約11分で読めます

東京23区で一棟アパート・一棟マンションを持っているオーナーから、「うちの区は都心と比べて利回りが高いのか低いのか」「売るなら今の相場はどのくらいか」という相談をよく受けます。区ごとの数字は公開データで見られますが、23区を並べると傾向がつかみにくくなります。

この記事では、23区を「都心5区・城東・城北・城西・城南」の5つのエリア群にまとめ、2026年9月時点の一棟収益物件の表面利回り・建物坪単価と、住戸の募集賃料単価を比べました。前年同月(2025年9月)との違いと、動いた理由として考えられることもあわせて整理します。

この記事のポイント

  • 2026年9月の一棟収益物件の表面利回り(区の中央値を件数で加重平均)は、都心5区3.68%、城南4.64%、城北4.84%、城西4.84%、城東5.14%でした(Urbalytics マーケットレポート エリア別)。
  • 前年同月比で利回りの低下がもっとも大きかったのは都心5区で−27bps、城東は−6bps、城北は−2bpsとほぼ横ばいでした。
  • 建物坪単価は都心5区507.8万円/坪に対し城東255.9万円/坪と約2倍ですが、住戸の募集賃料単価は代表駅で5,529円/㎡と4,359円/㎡で約1.27倍にとどまり、この差が利回りの差につながっています。

23区のエリア群への割り当てと区ごとの数字

エリア群の分け方には決まった定義がなく、資料によって世田谷区を城南に、練馬区を城北に入れることもあります。この記事では次の表のとおりに割り当てました。数字は Urbalytics マーケットレポート(エリア別)の2026年9月の値です。

エリア群区件数(2026年9月)表面利回り(2026年9月)前年同月(差)建物坪単価(2026年9月)
都心5区千代田区383.45%4.02%(−57bps)488.6万円
都心5区中央区332.77%3.52%(−75bps)592.7万円
都心5区港区433.20%3.33%(−13bps)643.6万円
都心5区新宿区1274.21%4.29%(−8bps)422.8万円
都心5区渋谷区563.53%3.93%(−40bps)559.3万円
城東台東区904.53%4.40%(+13bps)368.3万円
城東墨田区774.64%4.72%(−8bps)322.3万円
城東江東区615.11%4.76%(+35bps)258.2万円
城東荒川区645.06%5.04%(+2bps)295.9万円
城東足立区1175.50%5.68%(−18bps)166.6万円
城東葛飾区945.63%5.67%(−4bps)222.5万円
城東江戸川区935.27%5.43%(−16bps)208.9万円
城北文京区394.12%3.70%(+42bps)354.7万円
城北豊島区1084.58%4.50%(+8bps)318.0万円
城北北区734.82%5.14%(−32bps)281.0万円
城北板橋区1315.27%5.38%(−11bps)223.5万円
城西世田谷区1384.34%4.67%(−33bps)374.5万円
城西中野区1254.83%5.58%(−75bps)330.6万円
城西杉並区1224.76%4.68%(+8bps)311.1万円
城西練馬区1105.58%5.07%(+51bps)213.2万円
城南品川区474.38%4.99%(−61bps)393.7万円
城南目黒区393.82%4.03%(−21bps)429.8万円
城南大田区1215.01%5.00%(+1bps)264.5万円

出典:Urbalytics マーケットレポート(エリア別・東京都)と各区の一棟収益ページ。区名から各区のページへ移動できます。件数は売出中・成約を含む一棟収益物件の売出情報の件数(成約件数ではありません)。表面利回り(期待利回り)=年間収入÷売出価格、建物坪単価=売出価格÷建物面積、いずれも中央値。確認日:2026年10月2日。

区単位では、葛飾区5.63%・練馬区5.58%・足立区5.50%が高く、中央区2.77%・港区3.20%・千代田区3.45%が低い水準でした。東京都全体の中央値は5.00%です。千代田区・中央区・文京区・目黒区・港区は件数が30〜40件台で、1件の増減で中央値が動きやすい点に注意してください。中野区(−75bps)や練馬区(+51bps)のように1年で大きく動いた区も、売り出された物件の入れ替わりの影響を含んでいます。

エリア群別の表面利回りと建物坪単価(2026年9月と前年同月)

区の中央値を件数で加重平均すると、2026年9月の表面利回りは都心5区3.68%、城東5.14%で、両者の差は146bpsでした。前年同月と比べると、どのエリア群も利回りは横ばいか低下しています。

エリア群件数(2025年9月→2026年9月)表面利回り(2025年9月→2026年9月)建物坪単価(2025年9月→2026年9月)
都心5区205件→297件(+44.9%)3.95%→3.68%(−27bps)525.2万円→507.8万円(−3.3%)
城東544件→596件(+9.6%)5.20%→5.14%(−6bps)230.5万円→255.9万円(+11.0%)
城北308件→351件(+14.0%)4.85%→4.84%(−2bps)266.7万円→279.1万円(+4.7%)
城西432件→495件(+14.6%)4.98%→4.84%(−14bps)286.2万円→311.9万円(+9.0%)
城南181件→207件(+14.4%)4.83%→4.64%(−19bps)309.9万円→325.0万円(+4.9%)

出典:Urbalytics マーケットレポート(エリア別・東京都、2025年9月・2026年9月)の区の中央値を、TLLが件数で加重平均した値。エリア群全体の中央値ではありません。坪単価は万円/坪。確認日:2026年10月2日。

エリア群別の一棟収益物件の表面利回り。2026年9月は都心5区3.68%、城東5.14%、城北4.84%、城西4.84%、城南4.64%。
エリア群別 一棟収益の表面利回り(出典:Urbalytics マーケットレポート(エリア別)をもとにTLLが加重平均)

建物坪単価は、都心5区が507.8万円/坪で城東(255.9万円/坪)の約2倍です。前年同月比では城東が+11.0%ともっとも上がり、都心5区は−3.3%でした。

エリア群別の一棟収益物件の建物坪単価。2026年9月は都心5区507.8万円、城東255.9万円、城北279.1万円、城西311.9万円、城南325.0万円。
エリア群別 一棟収益の建物坪単価(出典:Urbalytics マーケットレポート(エリア別)をもとにTLLが加重平均)

エリア群別の賃料単価(代表駅の住戸)

イチョウの木の下に自転車が並ぶ、日本の街角の小さな店先
イチョウの木と自転車が並ぶ街角(イメージ)Photo: Rob Maxwell / Unsplash

一棟物件の利回りは「賃料÷価格」なので、賃料の水準も並べて見る必要があります。公開マーケットレポートの一棟収益ページに載る賃料は事務所・店舗の募集賃料で、住宅の賃料ではありません。そこで住宅の賃料は、区ごとに代表駅を1つ選び、Urbalytics の賃料データ(区分マンション・アパートの住戸)で過去12か月の募集賃料単価の中央値を調べました。

エリア群代表駅(区)と賃料単価の中央値(円/㎡・月)群内の中央値
都心5区神保町(千代田)5,724/月島(中央)5,529/田町(港)5,113/高田馬場(新宿)4,586/恵比寿(渋谷)5,7795,529円
城東浅草(台東)4,401/錦糸町(墨田)4,556/門前仲町(江東)5,033/町屋(荒川)3,815/北千住(足立)4,359/亀有(葛飾)3,484/西葛西(江戸川)3,1914,359円
城北茗荷谷(文京)4,380/池袋(豊島)4,464/赤羽(北)3,658/大山(板橋)3,8264,103円
城西三軒茶屋(世田谷)4,447/中野(中野)4,684/荻窪(杉並)3,910/練馬(練馬)3,7224,179円
城南大井町(品川)4,995/中目黒(目黒)5,529/蒲田(大田)4,4254,995円

出典:Urbalytics 賃料データ(rent_stats、住戸=区分マンションおよびアパート住戸)。2025年10月2日〜2026年10月2日に掲載された募集賃料で、同一建物・同面積・同賃料の重複掲載は1件にまとめています。各駅の件数は176〜1,103件。代表駅はTLLが区ごとに1駅を選んだもので、区全体の平均ではありません。集計日:2026年10月2日。

都心5区の賃料単価(5,529円/㎡)は城東(4,359円/㎡)の約1.27倍です。一方、建物坪単価は約2倍の差があります。価格の差ほど賃料の差は大きくないため、都心5区の表面利回りは低く、城東は高く出ます。城南は賃料単価が4,995円/㎡と都心5区に近い一方、坪単価は325.0万円/坪と都心の6割台で、利回りは4.64%と中間に位置しています。

エリア群別の住戸の募集賃料単価(円/㎡・月)。都心5区5,529円、城東4,359円、城北4,103円、城西4,179円、城南4,995円。
エリア群別 住戸の募集賃料単価(代表駅の中央値)(出典:Urbalytics MCP rent_stats(MANSION、2026年10月2日集計))

何が動いたか、なぜ動いた可能性があるか

前年同月と比べた動きで目立つのは、都心5区の利回り低下(−27bps)と、城東・城西の坪単価上昇(+11.0%、+9.0%)です。

  • 都心5区の利回り低下:中央区が3.52%→2.77%、千代田区が4.02%→3.45%と大きく下がりました。一方で坪単価は千代田区573.2万円→488.6万円、渋谷区682.3万円→559.3万円と下がっており、利回り低下が価格上昇だけで説明できるわけではありません。件数が205件→297件と約45%増えており、売り出された物件の種類(商業ビル・新築・築古など)が変わった影響が大きいと考えられます。
  • 城東の坪単価上昇:台東区312.1万円→368.3万円、墨田区270.1万円→322.3万円と上昇しました。浅草・押上周辺の宿泊需要を見込んだ買い手の動きや、建築費の上昇で新築物件の売出価格が上がっていることが背景として考えられます(建築費の高騰と中古一棟の価格)。
  • 件数の増加:すべてのエリア群で件数が1〜4割増えています。売りに出る物件が増えたとも読めますが、Urbalytics の収集範囲の変化を含む可能性があり、件数だけで需給の変化を判断するのは控えた方がよいと考えています。

東京都全体では、2026年8月に一棟収益物件767件が値下げされ、下げ幅の中央値は−5.0%でした(Urbalytics 値下げウォッチ)。売出価格と実際の成約価格の間には差があるため、売出の利回りは「売り手の希望の水準」として読むのが適切です。

駐車場に面して建つ中層の集合住宅と、停められた車
駐車場に面した中層の集合住宅(イメージ)Photo: PJH / Unsplash

オーナーが確認すべきこと

エリア群や区の利回りは、自分の物件の価格を考えるときの出発点になります。売却や保有の判断の前に、次の点を確認しておくと相場とのずれに気づきやすくなります。

  • 自分の物件の表面利回りを計算する:現在の年間賃料収入を、区の表面利回りで割ると、売出価格のおおよその目安が出ます。たとえば年間賃料1,200万円の物件なら、城東の5.14%で約2.3億円、都心5区の3.68%で約3.3億円です。あくまで売出の水準からの試算で、査定額や成約価格ではありません。
  • 区の中央値から外れる理由:築年数、駅からの距離、空室率、再建築の可否、借地かどうかで、同じ区でも利回りは1〜2ポイント変わります。
  • 賃料が相場どおりか:利回りの分子である賃料が周辺の募集賃料より低ければ、賃料の見直しで評価が変わる可能性があります。
  • 売出と成約の差:公開データは売出価格です。成約価格は値下げを経て決まることが多く、売り出してから価格を見直す前提で計画を立てます。

具体的な価格の考え方は一棟アパートの査定額はどう決まるか、売却の段取りは収益物件売却の流れにまとめています。TLLの無料査定では、区の相場と物件ごとの条件を踏まえて価格の目安をお伝えしています。

よくある質問

Q. 都心5区とはどの区ですか?

一般に千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区の5区を指します。この記事でもこの5区を都心5区としています。

Q. 城東・城西・城北・城南の区分は決まっていますか?

公的に決まった定義はなく、資料によって世田谷区や練馬区の扱いが異なります。この記事の割り当ては表に示したとおりで、比較のための便宜的な区分です。

Q. 前年同月より利回りが下がったのは価格が上がったからですか?

賃料が一定なら利回りの低下は価格上昇を意味しますが、区の中央値は売り出された物件の構成でも動きます。都心5区では坪単価が下がっているのに利回りも下がっており、物件構成の変化の影響が大きいと考えられます。

Q. この利回りで自分の物件が売れますか?

表の利回りは売出価格にもとづく中央値で、成約を保証するものではありません。築年数や空室状況などの個別条件で変わるため、具体的な価格は査定で確認してください。

まとめ

  • 2026年9月の一棟収益物件の表面利回りは、都心5区3.68%、城南4.64%、城北・城西4.84%、城東5.14%でした。
  • 前年同月比では都心5区が−27bpsともっとも低下し、城東・城北はほぼ横ばいでした。
  • 建物坪単価は都心5区が城東の約2倍、住戸の賃料単価は約1.27倍で、この差が利回りの差を生んでいます。
  • 区の数字は売出価格の中央値です。自分の物件は、区の水準からずれる理由と賃料の水準を確認したうえで判断しましょう。

アイキャッチ画像(イメージ):Photo: Josh Soto / Unsplash

この記事について

執筆
羅 興开(新規事業)

都市不動産開発とインフラ投資領域で 10 年以上の実績を持つ事業開発のスペシャリスト。アリババ・ハネウェルにて、中国大手国有交通事業者向けの大規模再開発プロジェクトおよびスマートビルディング・ソリューションの導入を統括。デューデリジェンス、土地取得、ストラクチャリングから竣工後のアセットマネジメントまで、開発バリューチェーン全般を熟知。TLL では新規事業開発と海外投資家向けプロジェクト組成をリードし、ホテル・レジデンス・複合開発案件を推進。

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運営
TLL合同会社宅地建物取引業 東京都知事(1)第108202号住宅宿泊管理業 国土交通大臣(01)第F03424号

記事中のデータは出典と集計時点を明記しています。相場や制度は変わることがあるため、個別の判断は最新情報と専門家へのご相談のうえで行ってください。

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