
東京でホステル・簡易宿所に投資するには|許認可・利回り・赤羽・高田馬場・練馬の考え方
江崎 隆信宿泊事業マネージャー
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東京でホステルの投資物件を探すとき、売出価格と想定宿泊売上だけでは判断できません。先に確認するのは、その住所と建物で予定した営業形態の許可を取れるか、運営費まで払ったあとに資金が残るかです。
「簡易宿所として使える」と販売資料に書かれていても、許可取得を保証する説明にはなりません。赤羽・高田馬場・練馬を例に、購入前の調査と利回りの読み方を整理します。法制度の確認日は2026年10月9日です。
この記事のポイント
- ホステルは施設の構造・運営方法に応じて旅館業の許可区分を判断し、民泊新法の届出と区別します。
- 2026年9月の一般一棟売出利回り中央値は赤羽4.80%、高田馬場4.04%、練馬5.21%。宿泊経営の利回りではありません。
- 購入前に保健所・建築担当・消防署へ同じ図面で相談し、許可条件を工事費と運営費へ落とし込みます。
ホステル投資ではどの許可が必要か
「ホステル」という呼び方だけで許可区分は決まりません。多人数が宿泊場所を共用する構造を中心とする施設は簡易宿所に該当し得ますが、個室中心の計画などは旅館・ホテル営業との区分を保健所に確認します。名称より図面と実際の運営方法が判断材料になります。
住宅宿泊事業法の届出による民泊には年間180日の上限があります。旅館業の許可と同じ制度ではなく、特区民泊も別制度です。制度の基本は観光庁の旅館業法の説明と住宅宿泊事業法の説明で確認できます。
既存の許可施設を購入する場合も、建物の売買だけで買主へ許可が移るとは限りません。営業者の変更や事業譲渡に必要な手続き、設備変更の扱いを、契約前に保健所へ確認します。
物件を買う前に確認する建築・消防・運営条件
許可の見通しは、用途地域、建物の適法性、消防設備、自治体の構造設備・管理基準をまとめて調べて判断します。住居専用地域の住宅をそのまま旅館にできるとは限りません。駅名で候補を絞ったあと、地番と住所に基づく用途地域を確認します。
建築確認関係書類と検査済証、現況図面をそろえ、増改築の有無、階段、避難経路、客室配置を建築士に見てもらいます。用途変更の確認手続きが不要な規模でも、安全基準がなくなるわけではありません。消防設備の追加と建築側の工事が互いに影響するため、別々の概算を足すだけでは不足が出ます。
人員配置やチェックインの方法も設備と一緒に決めます。夜間対応、鍵の引渡し、宿泊者名簿、ごみの保管場所、清掃動線を想定し、必要な管理室や設備を見積に入れます。各区の違いは東京23区の民泊・旅館業規制一覧が入口になりますが、個別計画は最新の公的資料と担当窓口で確認してください。
赤羽・高田馬場・練馬はどう比較するか
比較の単位は駅の人気より、住所ごとの許可条件と運営に使える建物面積です。
赤羽:北区の候補物件では、玄関帳場を含む管理方法と鍵運用を図面で確認します。北区の旅館業案内は計画段階の相談を求めています。北区の記事と照らし合わせ、既存許可と現在の運用が一致するかも調べます。
高田馬場:駅周辺でも所在地が新宿区か豊島区かで窓口と条例が変わります。新宿区は2026年9月に住宅宿泊事業と旅館業双方の規制強化方針を公表しました。現行ルールと改正方針を分け、取得予定時期の基準を確認します(区長記者会見の公表資料)。
練馬:常駐体制や管理スペースを含めた計画に、どれだけ費用と面積が必要かを確認します。練馬区の営業許可案内と練馬区の記事で手続きの全体像を把握できます。住宅街では騒音や荷物の搬入、ごみ出しの設計も収支に影響します。
ホステルの利回りと一般賃貸の利回りを区別する
一棟賃貸の売出利回りは、宿泊に転用できなかった場合の比較材料です。ホステルの収益実績として使う数字ではありません。
| 駅 | 棟数 | 表面利回り中央値 |
|---|---|---|
| 赤羽 | 9 | 4.80% |
| 高田馬場 | 6 | 4.04% |
| 練馬 | 4 | 5.21% |
出典:Urbalytics BUILDING売出データ、東京都、2026年9月1〜30日に掲載・価格変更のあった一棟物件。集計日2026年10月9日。重複掲載・成約・未公開査定・所定の異常値を除外。年間収入は掲載値(満室想定と現況が混在)。築年・構造・駅徒歩を統一していない少数標本で、宿泊施設限定の集計ではありません。

宿泊の年間売上は、ドミトリーなら販売可能なベッド数×販売可能日数×ベッド稼働率×平均ベッド単価で組みます。個室なら客室単位で計算し、ベッド数と客室数を混ぜないようにします。許可定員、休業、清掃による販売停止を反映してから、予約サイト手数料、清掃・リネン、人件費、光熱費、保険、税金、保守費を差し引きます。
運営利益を購入価格だけで割ると、改装の重い施設ほど収益力を高く見せてしまいます。取得費、工事費、什器、開業準備費を含む総投資額で比較し、借入返済後の手残りは別に計算します。表面利回りと実質利回りの違いも参考になります。
売主の試算は、稼働率と単価の根拠を確認します。営業済みなら月ごとの売上、予約経路、キャンセル、運営費の資料を取り寄せ、繁忙期だけの成績を通年へ広げないようにします。
契約前の調査をどう進めるか
許可と見積がそろってから、購入条件を具体化します。運営を始められない期間の金利や維持費も、資金計画に含めます。
- 登記、建築書類、図面、既存許可と営業実績を集め、資料と現況のずれを確認する。
- 保健所、建築担当、消防署に同一の計画を示し、未解決の条件を一覧にする。
- 条件を工事見積と人員計画へ反映し、低稼働のケースと一般賃貸へ戻すケースを比較する。
- 許可や融資が整わない場合の扱い、設備の引継ぎ、改修負担を契約書で明確にする。

「将来は住宅に戻せる」という説明も、工事や賃貸借条件を伴います。転用前後の図面と見積を残し、撤退時の負担を確認します。運営代行の見積は、基本料だけでなく夜間対応や清掃の範囲もそろえて比べます。
よくある質問
Q. ホステルなら年間180日を超えて営業できますか?
旅館業の許可施設には民泊新法の180日上限は適用されません。ただし、許可取得と地域の基準への適合が前提で、ホステルという名称だけでは判断できません。
Q. 赤羽や練馬の一棟利回りを宿泊収支に使えますか?
使えません。この集計は一般の一棟売出物件です。宿泊売上と運営費は、別の根拠で組み立てます。
Q. 許可済みの施設なら購入後すぐ営業できますか?
営業者変更などの手続き、現況と許可図面の一致、消防・建築の状態を確認する必要があります。許可を承継できるかも保健所で確認します。
まとめ
- 許可区分は名称でなく構造・運営方法で確認する。
- 一般一棟の売出利回り4.04〜5.21%を、宿泊経営の収益率と混同しない。
- 人員・改装費・開業までの維持費を含む総投資額で比較する。
- 契約前に住所と図面を使った保健所・建築・消防の確認を終える。
資料:本文中の観光庁・各区の公表資料、Urbalytics独自集計。制度・データ確認日:2026年10月9日。
アイキャッチ画像(イメージ):Photo: Monineath Horn / Unsplash
この記事について
- 執筆
- 江崎 隆信(宿泊事業マネージャー)保有資格:甲種防火管理者・第一種衛生管理者・危険物取扱者乙種4類・二級ボイラー技士
宿泊施設の開業準備から運営の安定化まで、許認可・改装・収支をつないで進める宿泊事業マネージャー。 ホテル・旅館・ゴルフ場で、支配人、総支配人、取締役を30年以上にわたり歴任。施設全体の運営と収支管理、行政対応、許認可取得、大規模改装に携わり、新しいグランピング施設の立ち上げから既存旅館の再生まで経験してきた。 TLLでは、宿泊事業の運営統括と新規物件の開業準備を担当。物件ごとに、利用する制度、必要な設備、現場の人員体制を整理し、開業後に運営できる計画を組み立てる。コラムでは東京23区の民泊・旅館業の違いや運営方式を解説し、物件取得前の検討材料を提供している。甲種防火管理者・第一種衛生管理者などの資格を持つ。
プロフィールを見る → - 運営
- TLL合同会社宅地建物取引業 東京都知事(1)第108202号住宅宿泊管理業 国土交通大臣(01)第F03424号
記事中のデータは出典と集計時点を明記しています。相場や制度は変わることがあるため、個別の判断は最新情報と専門家へのご相談のうえで行ってください。





