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江戸川区で民泊・旅館業はできる?キーボックス可の旅館業と民泊条例改正の動き

江崎 隆信宿泊事業マネージャー

約7分で読めます

江戸川区の旅館業(簡易宿所)は、フロントの設置について特段の定めがなく、駆けつけは10分以内、近隣への周知は説明資料のポスティング、鍵はキーボックスでの受け渡しも認められています。人を置かずに運営する形が、制度上は組める区です。

民泊新法(住宅宿泊事業)のほうは状況が動いています。区は営業を「住居系用途地域では原則営業不可。ただし一定の例外あり」で条例の改正を進めており、条例案の公表とパブリックコメントまで済んでいました。本記事の調査時点では2026年7月頃の施行が予定されていましたが、施行されたかどうか、内容が案のとおりかは確認できていません。

江戸川区は国家戦略特区民泊の実施区域ではないため、選択肢は民泊新法と旅館業の2つです。民泊新法で届出を考えている場合は、先に区へ最新の状況を確認してください。

本記事の規制情報は、当社が保健所及び区の公開資料をもとに整理したものです(2026年6月時点)。

江戸川区の民泊・旅館業規制 早見表

区分

項目

内容

旅館業(簡易宿所)

フロント(玄関帳場)

一定の基準を満たせば、玄関帳場を設置しないことが可能

駆けつけ要件

10分以内

近隣への周知

チラシ(ポスティング)

鍵の受け渡し

非対面での鍵の受け渡しを含め、基準に適合した方法で鍵を受け渡すことが可能

民泊新法(住宅宿泊事業)

区の上乗せ条例

【2026/7頃施行予定】「住居系用途地域では原則営業不可。ただし一定の例外あり」(条例案公表済み、パブコメ実施済み)

旅館業(簡易宿所):施設への常駐者を置かずに運営する方式も可能

旅館業は許可制で、年間の営業日数に上限はありません。江戸川区で求められる体制を整理すると次のとおりです。

  • フロント(玄関帳場):一定基準を満たせば設置しないことが可能

  • 駆けつけ:トラブル時に10分以内で現地に行ける体制。区の整理では「概ね800m以内」という目安も示されている

  • 近隣への周知:旅館業を営む旨の説明資料を、個別配布やポスティングで届ける。説明会の開催は求められない

  • 鍵の受け渡し:適切な受け渡しが必要

常駐者を置かなくてよいので、客室の少ない戸建てでも人件費を固定費に抱えずに済みます。その分、駆けつけ要員をどこに確保するかが体制づくりの中心になります。10分・800mという目安に収まる拠点があるかどうかは、物件を決める前に地図で確かめておいてください。

近隣に配る説明資料と、施設の表示

江戸川区の周知は説明会ではなく資料の配布で行うため、資料そのものの中身が問われます。区の整理で挙げられている記載事項は、旅館業を営むこと、施設の名称、所在地、事業者名、連絡先などです。

施設に掲げる表示には、名称・営業の種別・連絡先を記載します。近隣から見て、どこの誰が運営していて、何かあったときにどこへ連絡すればよいかが分かる内容にしておくと、開業後の問い合わせにも対応しやすくなります。

配布の範囲や資料の書式は、申請前の事前相談で保健所に確認してください。説明会を開く区と比べれば準備は軽いものの、配布した記録を残しておくと、後から周知の状況を説明するときに役立ちます。

民泊新法(住宅宿泊事業)と条例改正の動き

民泊新法は届出制で、年間180日(泊)が全国共通の上限です。家主不在型で運営する場合は住宅宿泊管理業者への委託が必要になります。

江戸川区では、この180日の枠に加えて、営業できる日を週末・祝日に限る上乗せ条例の改正が予定されていました(本記事の調査時点)。制限がかかる区域や、週末を何曜日の宿泊とするかといった細部は、施行された条例の本文で確認する必要があります。以下は、案のとおりに施行された場合の目安です。

運営の形

年間の営業上限(目安)

根拠

旅館業(簡易宿所)

365日

旅館業法。日数の上限なし

民泊新法・改正前の扱い

180日

住宅宿泊事業法の全国上限

民泊新法・改正案どおりに施行された場合

家主居住等の一定条件を満たす場合は
例外がある

江戸川区条例により住居系用途地域では
原則として住宅宿泊事業を実施できない。

改正が施行されていれば、民泊新法で営業できる日は180日の上限を大きく下回ります。これから民泊新法で始めるなら、週末だけの売上で収支が合うかを前提に計画を立て直す必要があります。既に届出している物件の扱いも含めて、最新の施行状況は区で確認してください。

江戸川区の物件相場(2026年8月)

指標

江戸川区

23区での順位

売出中の戸建 価格(中央値)

6,125万円(246件・延床93㎡)

高い方から19位/21区

賃貸戸建 募集賃料(中央値)

月14.4万円(90件・68㎡)

高い方から21位/21区

一棟収益物件 表面利回り(中央値)

5.4%(82件)

高い方から4位/23区

出典:Urbalytics マーケットレポート(江戸川区)。2026年8月に売出・募集されていた物件の中央値です。件数が10件に満たない指標は表示していません。

江戸川区は賃貸戸建の募集賃料がデータのある区のなかで最も低く、売出中の戸建の件数は23区で3番目に多い区です。賃貸戸建の賃料は借りて転貸する場合の毎月の固定費、戸建の売出価格は一棟貸しの民泊を自分で持つ場合の取得コストに当たります。どちらも23区の下位の水準で、特に転貸型は固定費を低く抑えられます。

一棟収益物件の表面利回りは23区で4番目に高く、普通賃貸でも利回りが出やすい区です。民泊新法が週末中心になると宿泊事業の売上は減るので、賃貸で運用した場合と比べたときの差は小さくなります。どの制度で運営するかを決めてから、賃貸との比較をやり直してください。

どちらの制度を選ぶか

民泊新法の改正が案のとおりに施行されていれば、江戸川区で通年の稼働を狙えるのは旅館業です。体制の要件も軽いので、用途地域の条件を満たす物件なら旅館業を軸に検討するほうが収支を組みやすくなります。

旅館・ホテルは第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、田園住居地域では原則として建てられず、工業地域・工業専用地域でも不可、第一種住居地域では3,000㎡以下に限られます。既存の住宅を旅館業に転用する場合は、用途変更の要否の確認と、建築基準法・消防法への適合が必要です。

江戸川区で物件を検討するときのチェックポイント

  • 民泊新法の条例改正が施行されたか、対象区域と曜日の定義はどうなったかを区に確認する

  • 用途地域を都市計画図で確認し、旅館業が取れる地域かを切り分ける

  • 駆けつけ要員の拠点が、施設から10分以内・概ね800m以内に収まるかを地図で確かめる

  • 近隣に配る説明資料に、施設の名称・所在地・事業者名・連絡先を載せ、配布の記録を残す

  • 住宅を転用する場合は、用途変更の要否と消防設備の追加が必要かを確認する

  • 区分マンションは管理規約で民泊・旅館業が禁止されていないかを確認する

  • 賃貸で借りる場合は、貸主の転貸承諾と用途の承諾を書面で取る

江戸川区は旅館業の体制要件が軽く、転貸の固定費も抑えやすい区ですが、民泊新法は制度の前提が変わりつつあります。旅館業での無人運営を含めた運営体制の組み方は、民泊運営代行のページで紹介しています。

よくある質問

江戸川区の民泊新法は、いまも180日まで営業できますか?

区は条例改正を進めていて、本記事の調査時点では2026年7月頃の施行が予定されていました。施行されていれば180日より少なくなるため、届出の前に区の担当課で最新の状況を確認してください。

江戸川区でキーボックスを使った無人の簡易宿所はできますか?

玄関帳場を設置しない簡易宿所は可能です。ただし、本人確認、宿泊者名簿、鍵の受け渡し、緊急時対応などについて区の基準を満たす必要があります。具体的な鍵の方式については、設備計画を持参して事前に保健所へ確認することをおすすめします。

近隣への周知は説明会が必要ですか?

江戸川区の旅館業のてびきでは、説明資料を個別配布・ポスティング等する方法が示されています。対象範囲や資料内容を確認したうえで、事前周知の実施記録を残しておく必要があります。範囲や書式は事前相談で保健所に確認してください。

ほかの区と比較する

条例・運用は改正や保健所の判断で変わることがあります。物件の取得や申請の前に、管轄の保健所へ事前相談してください。

アイキャッチ写真:荻野目さん / Wikimedia Commons(CC BY 2.0、トリミング)

MARKET DATA

江戸川区の不動産相場

2026年9月時点、江戸川区の戸建の売出価格の中央値は6,189万円(データ267件)で、東京都全体(5,580万円)の約1.1倍です。一棟収益物件の期待利回りの中央値は5.27%(売出価格の中央値1億5,800万円、データ93件)で、東京都全体(5.00%)より0.27ポイント高い水準です。

戸建

売出価格(中央値)
6,189万円
建物坪単価(中央値)
213.4万円/坪

2026年9月・データ267件|東京都全体 5,580万円

一棟収益物件

売出価格(中央値)
1億5,800万円
建物坪単価(中央値)
209万円/坪
期待利回り(中央値)
5.27%

2026年9月・データ93件|東京都全体 5.00%

出典:Urbalytics マーケットレポート(江戸川区)。売出情報(掲載中の物件)の月次中央値で、成約価格ではありません。期待利回りは年間想定賃料 ÷ 売出価格(表面利回り)です。

この記事について

執筆
江崎 隆信(宿泊事業マネージャー)保有資格:甲種防火管理者・第一種衛生管理者・危険物取扱者乙種4類・二級ボイラー技士

ホテル・旅館・ゴルフ場で支配人、総支配人、取締役を30年以上にわたり歴任。施設運営全般に加え、収支管理、行政対応、許認可取得、大規模改装プロジェクトを担当。グランピング施設の新規立ち上げから既存旅館の再生まで、開業準備から運営の安定化までを一貫して手掛ける。TLLでは宿泊事業の運営統括と、新規物件の開業準備をリードする。

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運営
TLL合同会社宅地建物取引業 東京都知事(1)第108202号住宅宿泊管理業 国土交通大臣(01)第F03424号

記事中のデータは出典と集計時点を明記しています。相場や制度は変わることがあるため、個別の判断は最新情報と専門家へのご相談のうえで行ってください。

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