
東京の民泊エリアの賃料と売出動向【2026年9月】台東・墨田・新宿・豊島・大田
羅 興开新規事業
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東京で民泊を始めたい方や、民泊向けの物件を探している投資家にとって、エリア選びの材料になるのは「宿泊需要」だけではありません。賃貸物件を借りて運営するなら賃料が、物件を買って運営するなら売出価格と利回りが、収支の土台になります。
この記事では、民泊の需要が多いとされる台東区・墨田区・新宿区・豊島区・大田区の5区について、2026年9月時点の一棟収益物件の表面利回り・建物坪単価・売出件数と、代表駅の住戸・戸建の募集賃料を Urbalytics のデータで整理しました。区ごとの民泊・旅館業の規制は、TLLの区別の記事へのリンクでまとめています。
この記事のポイント
- 2026年9月の一棟収益物件の表面利回りは、新宿区4.21%、台東区4.53%、豊島区4.58%、墨田区4.64%、大田区5.01%で、5区とも前年同月から±13bps以内の動きでした(Urbalytics マーケットレポート エリア別)。
- 建物坪単価は前年同月比で墨田区+19.3%(322.3万円/坪)、台東区+18.0%(368.3万円/坪)と、東側の2区の上昇が目立ちました。
- 代表駅の募集賃料単価(2025年10月〜2026年10月の中央値)は、住戸4,041〜4,586円/㎡に対し戸建2,812〜3,678円/㎡で、戸建は住戸より2〜4割低い水準でした(Urbalytics 賃料データ)。
民泊需要の多い5区の一棟収益物件:利回り・坪単価・売出件数
5区の一棟収益物件の表面利回りは4.2〜5.0%台に収まり、前年同月からほとんど動いていません。一方で建物坪単価は台東区・墨田区で2割近く上がりました。
| 区 | 件数(2025年9月→2026年9月) | 表面利回り(2025年9月→2026年9月) | 建物坪単価(2025年9月→2026年9月) | 2026年8月の値下げ(一棟/戸建) |
|---|---|---|---|---|
| 台東区 | 76件→90件 | 4.40%→4.53%(+13bps) | 312.1万円→368.3万円(+18.0%) | 13件・−3.2%/13件・−7.2% |
| 墨田区 | 59件→77件 | 4.72%→4.64%(−8bps) | 270.1万円→322.3万円(+19.3%) | 27件・−5.6%/30件・−4.5% |
| 新宿区 | 89件→127件 | 4.29%→4.21%(−8bps) | 390.4万円→422.8万円(+8.3%) | 29件・−5.7%/34件・−5.4% |
| 豊島区 | 105件→108件 | 4.50%→4.58%(+8bps) | 320.7万円→318.0万円(−0.8%) | 31件・−5.8%/33件・−5.0% |
| 大田区 | 99件→121件 | 5.00%→5.01%(+1bps) | 258.8万円→264.5万円(+2.2%) | 34件・−5.5%/59件・−3.9% |
出典:Urbalytics マーケットレポート(エリア別・各区の一棟収益ページ、2025年9月・2026年9月)。区名から各区のページへ移動できます。件数は売出中・成約を含む売出情報の件数(成約件数ではありません)。表面利回り(期待利回り)=年間収入÷売出価格、建物坪単価=売出価格÷建物面積(万円/坪)、いずれも中央値。値下げは各区ページの値下げウォッチ(2026年8月、件数・下げ幅の中央値)。確認日:2026年10月2日。
東京都全体の一棟収益物件の表面利回りは2026年9月時点で5.00%です。大田区はほぼ都の水準、新宿区は79bps低い水準でした。

代表駅の賃料:住戸と戸建の募集賃料
賃貸物件を借りて民泊を運営する場合、毎月の賃料が固定費の中心になります。区ごとに代表駅を1つ選び、過去12か月に掲載された住戸(区分マンション・アパート)と戸建の募集賃料を調べました。
| 代表駅(区) | 住戸:件数/賃料中央値/単価 | 戸建:件数/賃料中央値/単価 | 戸建の平均面積 |
|---|---|---|---|
| 浅草(台東区) | 979件/13.5万円/4,401円 | 12件/20.5万円/3,426円 | 78.8㎡ |
| 曳舟(墨田区) | 213件/12.0万円/4,041円 | 19件/15.0万円/2,886円 | 53.2㎡ |
| 高田馬場(新宿区) | 686件/13.85万円/4,586円 | 20件/28.0万円/3,678円 | 94.0㎡ |
| 池袋(豊島区) | 1,103件/12.4万円/4,464円 | 20件/33.75万円/3,429円 | 85.6㎡ |
| 蒲田(大田区) | 978件/11.9万円/4,425円 | 25件/18.5万円/2,812円 | 72.4㎡ |
出典:Urbalytics 賃料データ(rent_stats、住戸=MANSION、戸建=HOUSE)。最寄駅がその駅と記載され、2025年10月2日〜2026年10月2日に掲載された募集賃料(月額)。同一建物・同面積・同賃料の重複掲載は1件にまとめ、賃料単価が異常な値は除外。単価は円/㎡・月の中央値。代表駅はTLLが選んだもので、区全体の水準ではありません。戸建は12〜25件の小さなサンプルです。集計日:2026年10月2日。
住戸の賃料単価は5駅とも4,000円台/㎡で大きな差はありません。戸建は面積が広い分、賃料の総額は15万〜34万円と住戸の1.3〜2.7倍ですが、㎡あたりでは2〜4割低くなります。戸建には築年数の古い物件が含まれやすいことも、単価が低く出る理由の一つと考えられます。複数人のグループ客を受け入れやすい広さを、㎡あたりでは割安に借りられる可能性がある一方、件数が少なく、条件に合う物件が出る時期を選べない点に注意が必要です。

何が動いたか、なぜ動いた可能性があるか
前年同月比で目立つのは、台東区・墨田区の坪単価の上昇(+18.0%、+19.3%)と、新宿区の件数の増加(89件→127件)です。表面利回りは5区とも±13bps以内で、ほとんど変わっていません。
- 坪単価は上がり、利回りは横ばい:台東区では坪単価が上がる一方、土地面積・建物面積の中央値は小さくなっています(台東区の建物面積中央値は2025年9月77.5坪→2026年9月53.8坪)。小さめの物件が多く売り出されると、総額は抑えられたまま坪単価が上がることがあり、物件構成の変化が影響している可能性があります。
- 宿泊需要への期待:浅草・押上の周辺は訪日客の宿泊需要が多い地域で、民泊や簡易宿所への転用を見込んだ買い手がいることが価格を支えている可能性があります。ただし、データからその割合を確かめることはできません。
- 規制の変更:墨田区では2026年4月に常駐に関するルールが施行され、豊島区でも営業日数に関する改正の予定が公表されています。規制が厳しくなると、民泊目的の需要が減る方向に働く可能性もあります(詳しくは次の章の区別記事)。
- 値下げの多さ:2026年8月には5区で一棟収益物件134件が値下げされ、下げ幅の中央値は−3.2〜−5.8%でした。売出価格は売り手の希望で、成約までに見直されることが多い点を前提に読む必要があります。
区ごとの民泊・旅館業の規制はどこで確認するか
民泊には、住宅宿泊事業法(民泊新法、年間の営業日数は180日が上限)による届出、旅館業法の簡易宿所の許可、国家戦略特区の特区民泊(23区では大田区)という異なる制度があり、さらに区の条例で営業できる区域や曜日、管理者の常駐などが上乗せされています。同じ東京でも区によって条件が大きく違うため、物件を決める前に区の規制を確認してください。
- 台東区:台東区で民泊・旅館業はできる?常駐・対面の原則と家主不在型の営業日を整理
- 墨田区:墨田区で民泊・旅館業はできる?2026年4月施行の常駐ルールと営業日の制限
- 新宿区:新宿区で民泊・旅館業はできる?標識14日掲示・フロント寸法と住居専用地域の曜日制限
- 豊島区:豊島区で民泊・旅館業はできる?民泊120日への改正予定と簡易宿所の対面鍵渡し
- 大田区:大田区で民泊・旅館業はできる?特区民泊・民泊新法・簡易宿所の3制度と申請の流れ
- 23区全体:東京23区の民泊・旅館業規制一覧【2026年版】
条例は改正されることがあるため、最終的には区の保健所や担当窓口で最新の内容を確認してください。
オーナー・投資家が確認すべきこと
民泊向けの物件は、通常の賃貸より収入の振れ幅が大きく、規制や運営体制で収支が変わります。相場のデータを見たうえで、次の順番で確認していくと判断の抜けを減らせます。

- 賃料と宿泊収入の比較:賃貸で運営する場合、たとえば戸建の賃料が月20万円なら、年240万円の賃料に清掃費・リネン・運営代行手数料・光熱費を加えた額を、宿泊収入で上回る必要があります。稼働率と1泊あたりの単価(ADR)は、高い・低いの両方のケースで試算します。
- 転貸と管理規約:賃貸物件で民泊をするには貸主の転貸承諾が、区分マンションでは管理規約で民泊が禁止されていないことが前提です。
- 購入する場合の利回り:一棟物件を買って一部を民泊にする場合も、まずは通常の賃貸で回したときの表面利回りが区の水準(4.2〜5.0%台)と比べてどうかを確認し、民泊は上乗せの選択肢として考えると、規制が変わったときの影響を抑えられます。
- 空き家・戸建の活用:所有している戸建を民泊にするか、貸すか、売るかの比較は空き家の活用:売る・貸す・民泊にするの比較にまとめています。
TLLでは民泊運営代行として、区の規制の確認から届出・許可の準備、清掃・ゲスト対応・価格調整までを担当しています。物件の候補があれば、その区と物件で運営できるかの確認からご相談いただけます。
よくある質問
Q. 東京で民泊の需要が多いのはどの区ですか?
一般に、浅草のある台東区、スカイツリー周辺の墨田区、新宿・新大久保のある新宿区、池袋のある豊島区、羽田空港に近い大田区などが挙げられます。ただし区によって民泊の規制が大きく違うため、需要だけでなく規制とあわせて検討する必要があります。
Q. 民泊用に戸建を借りる場合、賃料の目安はいくらですか?
2025年10月〜2026年10月の募集賃料の中央値は、浅草20.5万円、曳舟15.0万円、高田馬場28.0万円、池袋33.75万円、蒲田18.5万円でした。いずれも12〜25件の小さなサンプルで、広さや築年数で大きく変わります。
Q. 民泊新法の180日上限は区の条例でさらに短くなりますか?
区の条例で、住居専用地域では週末のみなど営業できる曜日や期間が制限されている区があります。条件は区ごとに異なるため、各区の記事と保健所で確認してください。
Q. 一棟物件の利回りが高い区の方が民泊に向いていますか?
表面利回りは通常の賃貸を前提にした数字で、民泊の収益性を直接示すものではありません。宿泊需要、規制、運営コストを含めて物件ごとに試算する必要があります。
まとめ
- 民泊需要の多い5区の一棟収益物件の表面利回りは、2026年9月時点で4.21〜5.01%、前年同月から±13bps以内の動きでした。
- 建物坪単価は墨田区+19.3%、台東区+18.0%と東側の2区で上がりましたが、物件構成の変化の影響も考えられます。
- 代表駅の賃料単価は住戸4,041〜4,586円/㎡、戸建2,812〜3,678円/㎡で、戸建は㎡あたり2〜4割低い水準です。
- 民泊は制度と区の条例で条件が大きく変わります。物件を決める前に区の規制を確認し、賃料・運営コストを含めて収支を試算しましょう。
アイキャッチ画像(イメージ):Photo: Frank Okay / Unsplash
この記事について
- 執筆
- 羅 興开(新規事業)
都市開発・インフラ投資の経験をもとに、エリアの変化と不動産事業の可能性を検討する新規事業担当。 都市不動産開発とインフラ投資に10年以上携わり、アリババ・ハネウェルでは、大規模再開発やスマートビルディング関連のプロジェクトを担当。土地取得、デューデリジェンス、事業の組み立てから竣工後の運用まで、開発の各段階を経験してきた。 TLLでは、新規事業と海外投資家向けのプロジェクト組成を担当。ホテル・住宅などの用途を検討する際に、建築費や周辺の供給、交通利便性、運営条件を合わせて捉える。再開発に関するコラムでは、計画の規模だけでなく、完成までの時間や工事中の動線、既存賃貸物件への影響を整理している。
プロフィールを見る → - 運営
- TLL合同会社宅地建物取引業 東京都知事(1)第108202号住宅宿泊管理業 国土交通大臣(01)第F03424号
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