葛飾区で民泊・旅館業はできる?2026年4月施行の常駐義務と巡回・掲示の要件
葛飾区では2026年4月1日に規制が改正され、平日に営業する場合の常駐義務が加わりました。改正前から営業している既存施設は適用外なので、影響を受けるのは主にこれから新しく始める事業者です。
旅館業(簡易宿所)の運営体制も、常駐と1日1回以上の巡回が前提で、鍵は対面での手渡し、近隣へは説明会での周知が求められます。フロントの設置義務こそありませんが、キーボックスとスマートロックで人を置かずに回す計画は立てにくい区です。
葛飾区は国家戦略特区民泊の実施区域ではないため、選択肢は民泊新法(住宅宿泊事業)と旅館業の2つです。改正の中身と、申請前にやることを順に見ていきます。
本記事の規制情報は、当社が保健所への確認と区の公開資料をもとに整理したものです(2026年8月時点)。
葛飾区の民泊・旅館業規制 早見表
| 区分 | 項目 | 内容 |
|---|---|---|
| 旅館業(簡易宿所) | フロント(玄関帳場) | なし |
| 駆けつけ要件 | 常駐+巡回(日1回) | |
| 近隣への周知 | 説明会 | |
| 鍵の受け渡し | 直接対面 | |
| 民泊新法(住宅宿泊事業) | 区の上乗せ条例 | 【2026/4/1施行】平日営業に常駐義務追加。既存施設は適用外 |
2026年4月の改正:平日営業に常駐義務
区の公開資料(本記事末尾の参考資料)をもとにした改正のポイントは、平日に営業するなら常駐が必要になったことと、改正前からの既存施設には適用されないことの2点です。
新規で始める場合、平日も営業して稼働を上げようとすると常駐者の人件費がかかります。反対に、人件費を抑えようとすれば営業日を絞ることになり、どちらを取っても無人運営を前提にした他区の収支モデルはそのままでは使えません。
常駐と巡回がどう組み合わさるのか、たとえば週末だけ営業する場合に巡回で足りるのか、家主が同じ建物に住む形はどう扱われるのかといった細部は、区の資料だけでは読み切れません。計画を固める前に事前相談で確認してください。
旅館業(簡易宿所):常駐・巡回・対面の鍵渡し
旅館業は許可制で、年間の営業日数に上限はありません。葛飾区で求められる体制は次のとおりです。
- フロント(玄関帳場):設置義務はない
- 常駐と巡回:従業員の常駐に加え、1日1回以上の定期的な巡回を行う
- 近隣への周知:説明会を開く。対象は住宅の敷地から20mの範囲にある家屋等
- 鍵の受け渡し:宿泊者に対面で手渡す
- 施設の表示:公衆の見やすい場所に、施設の名称など規則で定める事項を掲げる
施設に掲げる事項として区が挙げているのは、施設の名称、管理者等の緊急連絡先、管理者等の氏名、宿泊定員、営業の種別、その他区長が必要と認める事項です。管理者の氏名と緊急連絡先を外から見える場所に出すことになるので、誰を管理者に立てるかは運営体制と合わせて早めに決めておきます。
申請前の掲示と近隣への周知
近隣への周知では、説明会に加えて、申請日の少なくとも15日前から営業許可日までの期間、地域住民の見やすい場所に掲示を出しておく必要があります。周知の対象は住宅の敷地から20mの範囲の家屋等で、この周知について区への書類提出は求められていません。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 申請日の15日以上前 | 地域住民の見やすい場所に掲示を出す(営業許可日まで継続) |
| 申請まで | 敷地から20m範囲の家屋等を対象に説明会を開く |
| 申請〜営業許可 | 営業許可日まで掲示を続ける |
20mという範囲は、10m以内を対象とする区と比べて対象の家屋が多くなりがちです。説明会の案内をどこまで配るかは、住宅地図で範囲を引いてから決めてください。
民泊新法(住宅宿泊事業)で営業する場合
民泊新法は届出制で、年間180日(泊)が全国共通の上限です。家主不在型で運営する場合は住宅宿泊管理業者への委託が必要になります。
葛飾区について当社が把握している上乗せの規制は、上で見た2026年4月施行の常駐義務です。平日に営業するなら常駐が必要で、既存施設は適用外という扱いは早見表のとおりです。区域ごとの制限の有無も含め、届出前に区の担当課で最新の内容を確認してください。
民泊新法は住居専用地域でも届出できる点で旅館業と違います。旅館・ホテルは第一種・第二種低層住居専用地域や中高層住居専用地域、田園住居地域、工業地域・工業専用地域では原則として建てられず、第一種住居地域では3,000㎡以下に限られます。住宅地の戸建てを検討するなら、選べる制度はまず用途地域で決まります。
葛飾区の物件相場(2026年8月)
| 指標 | 葛飾区 | 23区での順位 |
|---|---|---|
| 売出中の戸建 価格(中央値) | 4,980万円(162件・延床89㎡) | 高い方から21位/21区 |
| 賃貸戸建 募集賃料(中央値) | 月15.3万円(86件・70㎡) | 高い方から20位/21区 |
| 一棟収益物件 表面利回り(中央値) | 5.9%(96件) | 高い方から1位/23区 |
出典:Urbalytics マーケットレポート(葛飾区)。2026年8月に売出・募集されていた物件の中央値です。件数が10件に満たない指標は表示していません。
葛飾区の戸建の売出価格はデータのある区のなかで最も低く、賃貸戸建の賃料も下から2番目の水準です。戸建の売出価格は一棟貸しの民泊を自分で持つ場合の取得コスト、賃貸戸建の賃料は借りて転貸する場合の毎月の固定費に当たるので、入り口の負担は23区で最も軽い部類に入ります。
その一方で、一棟収益物件の表面利回りは23区で最も高く、普通賃貸で回すだけでも利回りが出る区です。宿泊事業にすると常駐の人件費が乗るため、取得コストの安さがそのまま民泊の有利さにはなりません。賃貸で運用した場合の利回りと、常駐費を差し引いた宿泊事業の手取りを並べて比べてください。
葛飾区で物件を検討するときのチェックポイント
- 用途地域を都市計画図で確認し、旅館業が取れる地域かどうかを切り分ける
- 平日も営業するか、週末中心にするかを決め、常駐者の人件費を固定費に入れて収支を試算する
- 常駐と巡回の組み合わせ、家主居住型の扱いを事前相談で確認する
- 既に営業している施設を引き継ぐ場合は、既存施設として改正の適用外になるかを区に確認する
- 説明会の対象となる敷地20m範囲の家屋等を住宅地図で洗い出す
- 申請日の15日以上前から掲示を出せるよう、申請日から逆算して工程を組む
- 住宅を転用する場合は用途変更の要否と建築基準法・消防法への適合を、区分マンションは管理規約を、賃貸物件は貸主の転貸承諾を確認する
葛飾区では、常駐と巡回を誰がどう担うかで収支の大半が決まります。常駐スタッフの手配や巡回、清掃・ゲスト対応まで含めた運営体制は、民泊運営代行のページで紹介しています。
よくある質問
2026年4月より前から営業している施設にも常駐義務はかかりますか?
区の整理では、既存施設は適用外とされています。ただし施設を譲り受けた場合や、改修で許可の内容が変わる場合の扱いは資料からは読み取れないため、区に確認してください。
葛飾区で無人の簡易宿所はできますか?
新規で始める場合は難しいと考えてください。旅館業では常駐と1日1回以上の巡回が求められ、鍵も対面で手渡す運用です。
近隣への周知はどの範囲まで必要ですか?
住宅の敷地から20mの範囲にある家屋等が対象です。説明会を開くほか、申請日の少なくとも15日前から営業許可日まで、地域住民の見やすい場所に掲示を出します。
問い合わせ先・参考資料
- 参考資料:葛飾区の公開資料
ほかの区と比較する
条例・運用は改正や保健所の判断で変わることがあります。物件の取得や申請の前に、管轄の保健所へ事前相談してください。
アイキャッチ写真:wanderplans.com / Unsplash
MARKET DATA
葛飾区の不動産相場
2026年8月時点、葛飾区の戸建の売出価格の中央値は4,980万円(データ162件)で、東京都全体(5,499万円)を約9%下回ります。一棟収益物件の期待利回りの中央値は5.92%(売出価格の中央値1億2,500万円、データ96件)で、東京都全体(5.03%)より0.89ポイント高い水準です。
出典:Urbalytics マーケットレポート(葛飾区)。売出情報(掲載中の物件)の月次中央値で、成約価格ではありません。期待利回りは年間想定賃料 ÷ 売出価格(表面利回り)です。
この記事について
- 執筆
- TLL編集部
- 運営
- TLL合同会社宅地建物取引業 東京都知事(1)第108202号住宅宿泊管理業 国土交通大臣(01)第F03424号
記事中のデータは出典と集計時点を明記しています。相場や制度は変わることがあるため、個別の判断は最新情報と専門家へのご相談のうえで行ってください。












