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東京23区の民泊・旅館業規制一覧【2026年版】フロント・常駐・鍵渡し・上乗せ条例を区ごとに比較

約8分で読めます執筆:TLL編集部

東京23区で民泊を始めるとき、最初に決めるのは「どの制度で営業するか」と「どの区で物件を持つか」です。同じ簡易宿所でも、キーボックスで無人運営できる区もあれば、フロントを置いて従業員を常駐させないと許可が出ない区もあります。

民泊新法(住宅宿泊事業)も、年間180日の上限は全国共通ですが、23区のほとんどは区の条例でさらに営業できる区域や曜日を絞っています。物件の住所が同じ区のなかのどこにあるかで、年間の営業日数が大きく変わります。

この記事では23区の規制を1つの表にまとめ、区ごとの傾向と物件相場をあわせて紹介します。

各区の情報は、当社が保健所への確認と区の公開資料をもとに整理したものです(2026年9月時点)。区名から各区の詳しい解説に進めます。

23区の民泊・旅館業規制 比較表

フロント・駆けつけ・鍵の受け渡しは旅館業(簡易宿所)の区条例、右端は民泊新法(住宅宿泊事業)の区の上乗せ条例です。

区フロント駆けつけ鍵の受け渡し民泊新法の上乗せ条例
千代田区あり常駐直接対面家主滞在型または常駐で文教地区等・学校等周辺以外の地域は制限なし/その他地域は金土のみまたは営業不可
中央区あり(令和8年4月からフロントは必ずゲストの通路で設置)常駐直接対面営業可能日数: 原則として、土曜日の正午から月曜日の正午までの宿泊に制限されています。
港区なし10分以内キーボックスOK家主居住型は制限なし/住居専用地域・文教地区の家主不在型は営業期間に制限あり
新宿区なし10分以内キーボックスOK住居専用地域は金土日のみ営業可/共同住宅は住民と施設の動線を分ける必要あり
文京区なし徒歩10分以内キーボックスOK住居専用地域・文教地区は金土日のみ営業可/届出の15日前までに近隣住民に通知が必要
台東区なし常駐直接対面家主滞在型または常駐は制限なし/その他は土日祝・年末年始のみ営業可
墨田区なし常駐(専用の便所/客室)直接対面【2026/4/1施行】常駐しない場合、金曜正午〜日曜正午のみ営業可(平日営業禁止)。既存施設は対象外。フロント設置義務も4/1から追加
江東区なし常駐(2026年7月から)直接対面土日のみ営業可
品川区なし10分以内キーボックスOK商業地域・近隣商業地域(文教地区を除く)は制限なし/その他は土日のみ営業可
目黒区あり(施設外可)徒歩10分以内キーボックスOK金土のみ営業可/届出の15日前までに近隣住民に通知が必要
大田区なし徒歩10分以内キーボックスOK住居専用地域、工業地域は不可
世田谷区なし10分以内キーボックスOK住居専用地域は土日祝のみ営業可
渋谷区なし10分以内キーボックス不可住居専用地域・文教地区は営業期間に制限あり
中野区なし10分以内 → 常駐(2027年4月〜)キーボックスOK住居専用地域は金土日祝のみ営業可
杉並区なし徒歩10分以内キーボックスOK住居専用地域での家主不在型は金土日祝、祝前日のみ営業可
豊島区あり10分以内 → 常駐(2026年内)直接対面【2026/12/16施行】年間営業日数180日→120日に制限。営業可能期間は7/1〜8/31、12/20〜1/10等に集中。既存施設にも遡及適用
北区なし10分以内キーボックス不可上乗せ条例なし(民泊新法の180日のみ)
荒川区あり常駐直接対面土日のみ営業可(年間約100日制限との報告あり。詳細確認推奨)
板橋区なし徒歩10分以内キーボックス不可住居専用地域は金土日祝、祝前日のみ営業可(家主居住型は規制対象外の場合あり)
練馬区なし常駐直接対面住居専用地域は金土日祝、祝前日のみ営業可/届出の15日前までに近隣住民に通知が必要
足立区なし10分以内キーボックスOK住居専用地域は金土日祝のみ営業可(年末年始を除く)
葛飾区なし常駐+巡回(日1回)直接対面【2026/4/1施行】平日営業に常駐義務追加。既存施設は適用外
江戸川区特になし10分以内キーボックスOK【2026/7頃施行予定】週末・祝日のみ営業に制限される見込み(条例案公表済み、パブコメ実施済み)

民泊の3つの制度の違い

東京で宿泊事業を行う制度は3つあります。比較表の見方にも関わるので、先に違いを押さえておきます。

制度手続き年間の営業日数23区での対象
民泊新法(住宅宿泊事業)届出180日(泊)まで。区の条例でさらに制限あり23区すべて
旅館業(簡易宿所)許可上限なし23区すべて(用途地域の制限あり)
国家戦略特区民泊認定上限なし(最低宿泊日数の定めあり)大田区のみ

民泊新法は住居専用地域でも届出できる一方、日数の上限と区の上乗せ条例がかかります。旅館業は日数の上限がない代わりに、住居専用地域や工業地域ではそもそも営業できず、区ごとの条例でフロントや駆けつけ体制が細かく決められています。投資として回すなら旅館業、自宅の一部を貸すなら民泊新法、というのが大まかな使い分けです。

家主が住んでいない物件を民泊新法で運営する場合(家主不在型)は、住宅宿泊管理業者への委託が義務づけられています。

23区の規制から見える傾向

比較表を横に見ると、23区は大きく2つに分かれます。

  • 無人運営に近い形が取れる区:駆けつけは10分以内でよく、キーボックスでの鍵渡しも認められる。港区・新宿区・文京区・品川区・目黒区・大田区・世田谷区・中野区・杉並区・足立区・江戸川区の11区がこの扱い
  • 人を置く前提の区:鍵は対面で渡し、駆けつけではなく常駐を求める。千代田区・中央区・台東区・墨田区・江東区・荒川区・練馬区・葛飾区などが該当
  • その中間:渋谷区・北区・板橋区はキーボックスを認めず、スマートキーなど本人確認ができる設備を求めている

2026年は常駐を求める区が増えた年でした。墨田区と葛飾区は2026年4月から、江東区は7月から常駐を条件に加え、中央区も4月からフロントの設置ルールを改めています。豊島区は2026年12月の改正で民泊新法の営業日数を年120日に絞り、旅館業でも常駐を求める方向です。中野区も2027年4月に常駐の義務化を予定しており、江戸川区も週末・祝日に営業を限る改正を進めてきました。予定段階の改正は各区の記事で調査時点の状況を書いているので、施行状況は区に確認してください。

民泊新法の上乗せ条例がないことを当社の調査で確認できたのは北区だけです。多くの区は、住居専用地域や文教地区を中心に、営業できる曜日を週末などに限っています。

23区の物件相場(2026年8月)

区売出中の戸建 価格(中央値)賃貸戸建 募集賃料(中央値)一棟収益物件 表面利回り(中央値)
千代田区——3.1%
中央区——2.5%
港区3億6,800万円月74万円3.8%
新宿区1億2,000万円月29.8万円3.9%
文京区1億2,980万円月25万円4.0%
台東区1億円月16.3万円4.4%
墨田区6,280万円月20万円5.7%
江東区8,230万円月16万円4.7%
品川区1億2,090万円月27万円4.5%
目黒区1億5,000万円月41万円3.8%
大田区7,535万円月22万円4.9%
世田谷区1億1,500万円月29万円4.4%
渋谷区1億6,480万円月37.5万円3.5%
中野区8,090万円月22万円4.7%
杉並区9,580万円月25万円5.0%
豊島区9,480万円月29万円4.8%
北区6,480万円月18.5万円4.8%
荒川区6,490万円月21.3万円5.1%
板橋区6,480万円月17.8万円5.5%
練馬区6,800万円月19万円5.3%
足立区4,985万円月16.9万円5.3%
葛飾区4,980万円月15.3万円5.9%
江戸川区6,125万円月14.4万円5.4%

出典:Urbalytics マーケットレポート。2026年8月に売出・募集されていた物件の中央値で、件数が10件に満たない区は「—」としています。

戸建の売出価格と賃貸戸建の賃料は、港区・渋谷区・目黒区を頂点に、東部の足立区・葛飾区・江戸川区に向かって下がっていきます。表面利回りはその逆で、葛飾区・墨田区・板橋区など価格の低い区ほど高く出ます。

一棟貸しの民泊は取得コストが収益を大きく左右するので、規制がゆるく価格も抑えられる区ほど始めやすく見えます。ただし宿泊単価と稼働率は立地と観光需要で決まるため、価格が安いというだけでは収支は合いません。規制・取得コスト・需要の3つを区ごとに見比べてください。

区を選ぶときの考え方

  • 無人運営で客室数の少ない戸建を回すなら、キーボックス可・駆けつけ10分以内の区から候補を絞る
  • 常駐を求める区では、フロントと常駐スペースを取っても採算が合う客室数の一棟物件を検討する
  • 民泊新法で進めるなら、物件が住居専用地域・文教地区に当たるかで営業日数が大きく変わるため、都市計画図で確認する
  • 改正が予定されている区では、既存施設に新ルールが適用されるかどうか(遡及の有無)を確認する
  • 区分マンションなら管理規約、賃貸なら貸主の転貸承諾を先に確認する

規制のゆるい区は競合施設も多くなりがちです。区ごとの詳しい要件と相場は、上の比較表の区名から各記事で確認できます。運営体制づくりから任せたい場合は民泊運営代行のページをご覧ください。

よくある質問

東京23区で民泊の規制がいちばんゆるい区はどこですか?

何を重視するかで変わります。民泊新法の上乗せ条例がないと確認できたのは北区だけですが、北区の旅館業はキーボックスを認めていません。旅館業で無人運営に近い形を取りたいなら、駆けつけ10分以内・キーボックス可の港区・新宿区・品川区・大田区・世田谷区などが候補になります。

特区民泊は23区のどこでできますか?

23区で国家戦略特区民泊を実施しているのは大田区だけです。ほかの区では民泊新法か旅館業(簡易宿所)のどちらかで営業します。

すでに営業している施設にも改正後のルールは適用されますか?

区によって違います。墨田区や葛飾区の改正は既存施設を対象外としていますが、豊島区の改正は既存施設にも適用される予定です。物件を買う前に、その区の経過措置を確認してください。

条例・運用は改正や保健所の判断で変わることがあります。物件の取得や申請の前に、管轄の保健所へ事前相談してください。

アイキャッチ写真:Mylène Larnaud / Unsplash

MARKET DATA

23区の不動産相場(2026年8月)

戸建の売出価格と、一棟収益物件の期待利回り(いずれも中央値)。区名から各区の規制解説へ、数値からマーケットレポートへ移動できます。

区戸建 売出価格一棟 売出価格一棟 期待利回り
千代田区—3億6,800万円3.10%
中央区6,740万円3億5,800万円2.54%
港区3億6,800万円5億円3.77%
新宿区1億2,000万円2億7,000万円3.86%
文京区1億2,980万円2億5,880万円4.04%
台東区1億円2億5,000万円4.44%
墨田区6,280万円2億3,900万円5.70%
江東区8,230万円2億1,800万円4.70%
品川区1億2,090万円3億900万円4.46%
目黒区1億5,000万円3億2,700万円3.80%
大田区7,535万円1億8,540万円4.87%
世田谷区1億1,500万円2億4,200万円4.39%
渋谷区1億6,480万円3億1,621万円3.54%
中野区8,090万円1億6,850万円4.72%
杉並区9,580万円1億6,620万円4.99%
豊島区9,480万円2億2,050万円4.79%
北区6,480万円1億1,650万円4.80%
荒川区6,490万円1億6,800万円5.11%
板橋区6,480万円1億2,500万円5.54%
練馬区6,800万円1億7,650万円5.26%
足立区4,985万円1億4,500万円5.29%
葛飾区4,980万円1億2,500万円5.92%
江戸川区6,125万円1億2,800万円5.39%

出典:Urbalytics マーケットレポート(東京都)。各区の最新月(1か月10件以上)の売出情報の中央値で、成約価格ではありません。「—」は件数不足で非公表。

この記事について

執筆
TLL編集部
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記事中のデータは出典と集計時点を明記しています。相場や制度は変わることがあるため、個別の判断は最新情報と専門家へのご相談のうえで行ってください。

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