夕暮れの水辺から見た高層ビルが並ぶ都市の景色

東京23区 一棟収益物件の坪単価ランキング【2026年9月】都心と城東・城北の差と前年同月比

須藤 栄一(宅地建物取引士)仕入

約9分で読めます

一棟アパートや一棟マンションの価格を区ごとに比べるとき、売出価格の総額だけを見ると、建物の大きさの違いに引っ張られてしまいます。そこで使われるのが「建物坪単価」です。売出価格を延床面積(坪)で割った値で、同じ広さあたりいくらで売り出されているかを比べられます。

この記事では、TLL合同会社が運営する Urbalytics の公開マーケットレポート(2026年9月集計)から、東京23区の一棟収益物件の建物坪単価を区別に並べ、前年同月(2025年9月)からの変化と、都心と城東・城北の差を整理しました。いずれも売出価格ベースの数字で、成約価格ではありません。

この記事のポイント

  • 2026年9月の東京23区の一棟収益物件の建物坪単価(区別中央値)は、港区643.6万円/坪が最も高く、足立区166.6万円/坪が最も低く、約3.9倍の差がありました(Urbalytics マーケットレポート、売出データ)。
  • 都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)の坪単価は507.8万円/坪で、城東6区235.8万円/坪の約2.2倍。前年同月の約2.4倍から差が縮まりました(いずれも区別中央値の件数加重平均)。
  • 前年同月比では世田谷区(+20.4%)、墨田区(+19.3%)、台東区(+18.0%)が大きく上昇し、渋谷区(−18.0%)、千代田区(−14.8%)は低下しました。

東京23区の一棟収益物件の坪単価ランキング(2026年9月)

2026年9月時点で建物坪単価が高いのは、港区(643.6万円/坪)、中央区(592.7万円/坪)、渋谷区(559.3万円/坪)、千代田区(488.6万円/坪)、目黒区(429.8万円/坪)の順です。低いのは足立区(166.6万円/坪)、江戸川区(208.9万円/坪)、練馬区(213.2万円/坪)でした。東京都全体(多摩・島しょを含む)の中央値は263.5万円/坪です。

順位区2026年9月(万円/坪)件数2025年9月(万円/坪)前年同月比売出価格中央値
1港区643.643件623.5+3.2%50,000万円
2中央区592.733件573.6+3.3%45,650万円
3渋谷区559.356件682.3−18.0%42,000万円
4千代田区488.638件573.2−14.8%39,800万円
5目黒区429.839件412.9+4.1%35,250万円
6新宿区422.8127件390.4+8.3%30,000万円
7品川区393.747件346.4+13.7%27,450万円
8世田谷区374.5138件311.1+20.4%25,000万円
9台東区368.390件312.1+18.0%20,500万円
10文京区354.739件348.1+1.9%24,800万円
11中野区330.6125件321.0+3.0%17,850万円
12墨田区322.377件270.1+19.3%24,685万円
13豊島区318.0108件320.7−0.8%22,800万円
14杉並区311.1122件297.9+4.4%15,790万円
15荒川区295.964件282.6+4.7%22,000万円
16北区281.073件252.6+11.2%14,000万円
17大田区264.5121件258.8+2.2%16,900万円
18江東区258.261件262.1−1.5%21,800万円
19板橋区223.5131件198.3+12.7%13,480万円
20葛飾区222.594件211.6+5.2%14,300万円
21練馬区213.2110件195.0+9.3%15,480万円
22江戸川区208.993件187.4+11.5%15,800万円
23足立区166.6117件181.8−8.4%15,300万円

出典:Urbalytics マーケットレポート(エリア別・東京都、各区の一棟収益ページ「売買価格・面積の推移」)。建物坪単価=売出価格÷建物面積(延床、1坪=約3.31㎡)。Urbalyticsが収集した一棟収益物件の売出情報(売出中・成約を含む)の月次中央値で、外れ値はIQR法で除外。集計月:2026年9月(2026年10月2日に閲覧)。

東京23区の一棟収益物件の建物坪単価中央値を区別に高い順に並べた横棒グラフ。港区643.6万円/坪が最も高く、足立区166.6万円/坪が最も低い。
東京23区 一棟収益の建物坪単価(区別中央値)(出典:Urbalytics マーケットレポート(エリア別・一棟収益、2026年9月集計))

坪単価の順位は、表面利回りの順位とおおむね逆になります。坪単価が高い区ほど、賃料に対して価格が高く、利回りは低くなりやすいためです。区別の利回りは「東京23区 一棟収益物件の表面利回りランキング【2026年9月】」にまとめています。

都心と城東・城北の差はどのくらいか

区をまとめて比べると、2026年9月の建物坪単価(区別中央値の件数加重平均)は都心5区507.8万円/坪、城北4区(豊島・北・板橋・練馬)254.9万円/坪、城東6区(墨田・江東・荒川・足立・葛飾・江戸川)235.8万円/坪でした。都心は城東の約2.2倍、城北の約2.0倍の水準です。

エリア2025年9月(万円/坪)2026年9月(万円/坪)前年同月比件数(2026年9月)
都心5区525.2507.8−3.3%297件
城北4区241.9254.9+5.4%422件
城東6区217.3235.8+8.5%506件
23区計296.4320.1+8.0%1,946件

出典:Urbalytics マーケットレポート(エリア別・東京都)の各区の一棟収益の建物坪単価(中央値)を、TLLがデータ件数で加重平均したもの。エリア全体の中央値ではありません。23区計の2026年9月の値は、東京都ページに掲載の「件数加重平均・1,946件/23エリア」と一致します。集計月:2026年9月。

都心5区の建物坪単価は2025年9月525.2万円から2026年9月507.8万円へ下がり、城北4区は241.9万円から254.9万円、城東6区は217.3万円から235.8万円へ上がったことを示す棒グラフ。
都心5区・城東6区・城北4区の建物坪単価(出典:Urbalytics マーケットレポート(エリア別・一棟収益、2026年9月集計))

前年同月と比べると、都心5区は3.3%下がり、城東6区は8.5%、城北4区は5.4%上がりました。その結果、都心と城東の倍率は約2.4倍から約2.2倍に縮まっています。ただし都心5区の低下は、渋谷区(682.3→559.3万円/坪)と千代田区(573.2→488.6万円/坪)の2区の動きによるところが大きく、港区・中央区・新宿区は上昇しています。

赤い縁取りと日本語の看板がある低層の建物
赤い縁取りの低層の建物と看板(イメージ)Photo: Chan / Unsplash

坪単価が動いた理由として考えられること

前年同月比で上昇が目立ったのは世田谷区(311.1→374.5万円/坪)、墨田区(270.1→322.3万円/坪)、台東区(312.1→368.3万円/坪)、品川区(346.4→393.7万円/坪)、板橋区(198.3→223.5万円/坪)でした。理由をこのデータだけで特定することはできませんが、次のような要因が考えられます。

  • 売出価格の上昇:売り手の希望価格が全体に上がれば、坪単価も上がります。
  • 物件構成の変化:新築・築浅の物件が多く売り出されると、坪単価の中央値は上がりやすくなります。建築費の上昇が新築の価格を押し上げ、中古の売出価格にも影響している可能性があります(考え方は「一棟アパートの査定額はどう決まる?」も参照)。
  • 建物の大きさの違い:坪単価は建物面積で割った値のため、延床の小さい物件が増えると上がりやすく、大きな物件が増えると下がりやすくなります。
  • 件数の少なさ:千代田区の2025年9月はデータ16件、中央区は24件と少なく、中央値が大きく振れやすい水準です。千代田区・渋谷区の低下も、この影響を含んでいる可能性があります。

また、坪単価は建物の面積あたりの価格なので、土地の価値が大きい都心の物件では、建物が小さいほど坪単価が高く出ます。都心と外周区の差は、建物そのものの価値の差ではなく、主に立地(土地)の価格差を映していると考えるのが自然です。

オーナー・投資家が確認すべきこと

坪単価のランキングを自分の物件に当てはめるときは、次の順で確認します。

  1. 延床面積を確かめる:登記簿や図面で延床面積(㎡)を確認し、3.31で割って坪に直します。
  2. 想定価格を延床坪数で割る:想定する売出価格から、自分の物件の建物坪単価を出します。
  3. 区の中央値と比べる:上の表で、所在区の2026年9月の値と前年同月比を見ます。
  4. 利回りとセットで見る:坪単価が区の中央値より高くても、賃料が高く利回りが合えば買い手は付きやすくなります。片方だけで判断しないことが大切です。
  5. 土地の条件を補正する:容積率、接道、土地の広さ・形状は価格に大きく影響します。土地の評価は坪単価だけでは測れません。
建物坪単価で物件の位置を確かめる5つの手順を示す図。
坪単価で自分の物件の位置を確かめる手順

区の坪単価は相場の目安で、実際の価格は個々の条件で上下します。売却を検討されている方は、TLLの無料査定で、周辺の売出・成約事例と賃料水準をもとにした価格の考え方をご確認いただけます。売り方の比較は「一棟アパートは買取と仲介どちらで売る?」でも解説しています。

緑の植木の脇にとめられた自転車がある住宅街の路地
植木と自転車のある住宅街の路地(イメージ)Photo: Francisco Suarez / Unsplash

よくある質問

Q. 建物坪単価と土地の坪単価は同じものですか?

違います。この記事の建物坪単価は、売出価格を建物の延床面積で割った値です。土地の価格を土地面積で割った坪単価とは別の指標で、同じ物件でも数字は大きく異なります。

Q. 坪単価が上がった区は、相場が上がったと考えてよいですか?

売出価格の上昇を含んでいる可能性はありますが、新築や小さめの物件が多く売り出されたなど、物件構成の変化でも坪単価の中央値は上がります。前後の月の推移や件数とあわせて見る必要があります。

Q. 都心と外周区で、どちらの物件が売りやすいですか?

坪単価の水準だけでは決まりません。買い手は利回り、融資の付きやすさ、建物の状態などを総合して判断します。物件ごとの売りやすさは、査定で個別に確認することをおすすめします。

まとめ

  • 2026年9月の東京23区の一棟収益の建物坪単価(区別中央値)は、港区643.6万円/坪が最も高く、足立区166.6万円/坪が最も低い結果でした。
  • 都心5区は507.8万円/坪で城東6区235.8万円/坪の約2.2倍。前年同月の約2.4倍から差は縮まりました。
  • 世田谷区(+20.4%)、墨田区(+19.3%)、台東区(+18.0%)が上昇し、渋谷区(−18.0%)、千代田区(−14.8%)は低下しましたが、物件構成や件数の影響を含む可能性があります。
  • 自分の物件の坪単価を区の中央値と比べるときは、利回りと土地の条件もあわせて確認しましょう。

アイキャッチ画像(イメージ):Photo: Ozgu Ozden / Unsplash

この記事について

執筆
須藤 栄一(仕入)保有資格:宅地建物取引士・損害保険募集人

首都圏の収益物件・事業用不動産を対象に、案件の発掘から仕入れ、再販計画までを担当する。 不動産業界で25年以上、野村不動産ソリューションズや大京穴吹不動産などで売買実務に従事。都心部から首都圏郊外までの業者ネットワークを活かし、未公開案件や再生余地のある物件の仕入れに取り組んでいる。宅地建物取引士。 仕入れでは、賃貸状況と建物・権利関係を確認し、改修費用と再販時の価格を含めて事業収支を検討する。購入時点の価格交渉にとどまらず、どこを改善し、どのように売却するかまで見据えることを重視。コラムでは、入居者付き物件の売却や築古・借地権など、条件に応じた売り方を解説している。

プロフィールを見る →
運営
TLL合同会社宅地建物取引業 東京都知事(1)第108202号住宅宿泊管理業 国土交通大臣(01)第F03424号

記事中のデータは出典と集計時点を明記しています。相場や制度は変わることがあるため、個別の判断は最新情報と専門家へのご相談のうえで行ってください。

RELATED

市況・データのコラム

AUTHOR

須藤 栄一のその他のコラム

03-4566-3208お問い合わせ