
収益物件購入の流れ|物件探しから決済まで7ステップと契約前の確認ポイント
一棟アパートや区分マンションなどの収益物件は、自宅の購入と違い、入居者がいる状態で買う(オーナーチェンジ)ことが多く、融資の審査でも物件の収益性が重視されます。流れと各段階の注意点を押さえておくと、良い物件を見つけたときに迷わず動けます。
この記事では、収益物件の購入を物件探しから決済・引渡しまで7つのステップに分けて、各段階でやること、契約前に確認したいこと、トラブルを避けるためのポイントを解説します。
収益物件購入の全体の流れ
| ステップ | 主な内容 | 目安の期間 |
|---|---|---|
| 1. 物件探し | ポータルサイト・不動産会社・メルマガで情報を集める | 数週間〜数か月 |
| 2. 現地確認・資料確認 | 現地・周辺を見る、レントロールや修繕履歴を確認 | 数日〜2週間 |
| 3. 買付証明書の提出 | 購入希望価格と条件を売主に伝える | 即日〜数日 |
| 4. 融資の事前審査 | 金融機関に物件資料と自分の資料を出す | 1〜2週間 |
| 5. 重要事項説明・売買契約 | 契約内容の確認、手付金の支払い | 1日 |
| 6. 融資の本審査・金銭消費貸借契約 | 融資条件の確定、ローン契約 | 2〜4週間 |
| 7. 決済・引渡し | 残代金の支払い、登記、賃貸の引継ぎ | 1日 |
期間は物件や金融機関によって変わります。人気のある物件は買付が複数入ることも多く、融資の事前審査を早めに進めておくと有利です。
ステップ1・2 物件探しと現地・資料の確認
物件情報は、SUUMO・HOME'S・アットホームなどのポータルサイト、楽待・健美家などの投資用ポータル、不動産会社からの直接の紹介で集めます。一般に公開される前の物件は、日頃やり取りのある不動産会社や投資家向けのメルマガで先に紹介されることがあります。
気になる物件が見つかったら、次の資料を取り寄せて確認します。
- レントロール(部屋ごとの賃料・契約開始日・敷金)
- 登記事項証明書、公図、測量図
- 建物の図面、確認済証・検査済証
- 修繕履歴(外壁・屋上防水・給排水設備など)
- 固定資産税の評価額がわかる資料
現地では、建物の外観や共用部の状態に加えて、駅からの道のり、周辺の生活利便施設、競合する賃貸物件の多さも見ておきます。物件の選び方は「収益物件の選び方」で詳しく解説しています。
ステップ3 買付証明書を出す
購入したい物件が決まったら、買付証明書(購入申込書)を売主に提出します。記載する主な内容は次のとおりです。
- 購入希望価格
- 支払方法(融資を使うか、現金か)と、融資特約をつけるか
- 契約日・引渡し日の希望
- その他の条件(境界の明示、残置物の撤去など)
- 有効期限
同じ価格で複数の買付が入った場合、先に出した人や、現金購入や早い決済日など、売主にとって見通しの立てやすい条件を出した人が優先されることが一般的です。価格交渉をするなら、買付を出す前に、似た物件の利回りや周辺の賃料相場など根拠をそろえておきます。
ステップ4・6 融資の事前審査と本審査
融資を使う場合は、買付と前後して金融機関の事前審査を受けます。売買契約後に本審査を受け、承認されれば金融機関と金銭消費貸借契約(ローン契約)を結びます。
売買契約には融資特約(ローン特約)をつけておくのが一般的です。予定した融資が受けられなかった場合に、手付金を返してもらったうえで契約を白紙に戻せる条項です。特約の期限と、対象になる金融機関・融資額を契約書で具体的に定めておきます。融資の仕組みは「不動産投資ローンの基礎」で解説しています。
ステップ5 重要事項説明と売買契約
売買契約の前に、宅地建物取引士から重要事項説明を受けます。物件の権利関係、法令上の制限、インフラの状況、契約解除の条件などが記載されています。わからない点はその場で質問し、納得してから契約します。
契約時に必要なものの例です。
- 本人確認書類
- 印鑑(融資を使う場合は実印と印鑑登録証明書を求められることが多い)
- 手付金(売買代金の5〜10%程度が目安)
- 印紙(売主・買主がそれぞれ保管する契約書に貼る)
契約前に確認したい3つのこと
- 売主が本当の所有者か:登記事項証明書で所有者を確認します。所有者になりすまして代金をだまし取る「地面師」の被害を防ぐため、本人確認は不動産会社と司法書士が慎重に行います。売主や代理人の説明に不自然な点があれば、契約を急がないことが大切です。
- 賃貸借契約の中身:レントロールの賃料が契約書と一致しているか、滞納やトラブルがないか、サブリース契約が残っていないかを確認します。
- 契約不適合責任の範囲:個人の売主は、特約で責任を負う期間を短くしたり免責にしたりすることがあります。築古の物件ほど、建物の状態を事前に確認しておきます。
ステップ7 決済・引渡し
決済日には、金融機関で融資が実行され、残代金を売主に支払います。司法書士が所有権移転と抵当権設定の登記を申請し、鍵や賃貸借契約書などの書類を受け取ります。
オーナーチェンジの物件では、あわせて次の精算を行います。
- 入居者から預かっている敷金の引継ぎ(売買代金と相殺するのが一般的)
- 当月の賃料と、固定資産税・都市計画税の日割り精算
- 入居者・管理会社への、オーナー変更と賃料振込先の通知
購入時にかかる費用は「収益物件購入時の諸費用」で詳しく解説しています。
まとめ
- 収益物件の購入は、物件探し・資料確認・買付・融資・契約・本審査・決済の7ステップで進む。
- 買付は根拠をそろえて出し、融資の事前審査は早めに進める。
- 売買契約には融資特約をつけ、期限と条件を具体的に定める。
- 所有者の確認、賃貸借契約の中身、契約不適合責任の範囲は契約前に確認する。
- 決済では敷金・賃料・固定資産税の精算と、入居者への通知まで行う。
トップ画像:Photo by Alicia Christin Gerald on Unsplash(イメージ)
この記事について
- 執筆
- 李 瀟(販売・PM事業責任者)保有資格:宅地建物取引士・ビル経営管理士
不動産販売およびプロパティマネジメントの実務責任者。NTT コミュニケーションズにて 8 年以上、大手企業向け DX 案件のプロジェクトマネージャーとして、要件定義から納品・運用までの全工程を統括。TLL では収益不動産の販売戦略立案、投資家ソーシング、契約実行、決済・引渡しまでの一連のディールマネジメントを担当し、国内外の投資家・事業者に対して最適な物件提案とスムーズな取引執行を提供。
プロフィールを見る → - 運営
- TLL合同会社宅地建物取引業 東京都知事(1)第108202号住宅宿泊管理業 国土交通大臣(01)第F03424号
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