
収益物件の選び方|物件の種類・立地・建物・権利・収支の5つのチェックポイント
収益物件は、同じ価格・同じ利回りに見えても、立地や建物の状態、権利関係によって、将来の賃料・修繕費・売却価格が大きく変わります。表面利回りだけで選ぶと、空室や想定外の修繕で手元に残るお金が少なくなることもあります。
この記事では、収益物件を選ぶときのチェックポイントを「物件の種類」「立地」「建物」「権利・法令」「収支」の5つに分けて解説します。
物件の種類と特徴
| 種類 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 区分マンション(1室) | 少額から始められ管理の手間が少ない。1室なので空室になると収入がゼロになる | 少額で始めたい、手間をかけたくない |
| 一棟アパート(木造・軽量鉄骨) | 区分より利回りが高い傾向。複数戸あるため空室リスクが分散され、土地も手に入る | 収入の規模を増やしたい、土地を持ちたい |
| 一棟マンション(RC造) | 建物の耐用年数が長く、融資期間を長く取りやすい。価格は大きくなる | 自己資金と融資枠に余裕がある |
| 戸建て | ファミリー層が長く住みやすい。1戸なので空室リスクは区分と同じ | 築古を安く買って手を入れたい |
同じ一棟物件でも、築年数によって向き不向きがあります。築5年未満は新築プレミアムで賃料も価格も高めになりやすく、築30年を超えると大規模修繕や融資期間の短さが課題になります。築5〜30年程度は、賃料が比較的安定し、修繕の見通しも立てやすい層です。
立地:賃貸の需要が続くか
- 駅からの距離と路線:最寄駅からの徒歩分数と、その路線が主要なオフィス街・繁華街にどれだけ早く出られるか。
- 人口の動き:区や市が公表している人口統計で、そのエリアの人口が増えているか減っているかを確認します。
- 生活の利便性:スーパー・コンビニ・病院などへの距離。実際に周辺を歩いて確かめるのがいちばん正確です。
- 将来の計画:再開発、新駅、商業施設の計画がないか。区や都の都市計画の資料で確認できます。
- 競合物件:周辺に同じような間取りの賃貸物件が多すぎないか。
建物:状態と修繕の見通し
- 構造と築年数:木造・鉄骨造・RC造で法定耐用年数が違い、融資期間と減価償却に影響します。
- 耐震基準:1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物は新耐震基準です。旧耐震の建物は融資が付きにくくなります。
- 修繕履歴:外壁塗装、屋上防水、給排水管、給湯器などの交換時期。次の大規模修繕がいつ、いくらかかりそうかを見積もります。
- 間取りと需要:単身者向け(1R・1K)、カップル向け(1LDK)、ファミリー向け(2LDK以上)のどれか。周辺の需要と合っているかを確認します。
- 検査済証:建築確認どおりに建てられたことを示す書類。ないと融資を断られることがあります。
権利・法令:買ったあとの制約
- 土地の権利:所有権か借地権か。借地権の場合は地代や、売却・建て替え時に地主の承諾が必要になります。
- 接道:建築基準法上の道路に2m以上接しているか。接していない再建築不可の物件は、将来建て替えができません。
- 容積率・建蔽率:今の建物が基準を超えていないか。超えている違反建築は融資が付きにくく、売却時にも不利になります。
- セットバック:前面道路の幅が4m未満の場合、建て替え時に敷地の一部を道路として提供する必要があります。
収支:表面利回りだけで判断しない
収益物件の広告には、年間の満室賃料を価格で割った表面利回りが載っています。実際の判断では、次の指標もあわせて確認します。
- 実質利回り(NOI利回り):年間賃料から、管理費・修繕費・固定資産税・保険料などの運営経費を引いた純収益(NOI)を、物件価格と購入諸費用の合計で割ったもの。
- 返済後のキャッシュフロー:純収益から、ローンの返済額(元金と利息)を引いた、実際に手元に残るお金。
- 賃料が相場どおりか:レントロールの賃料が周辺の募集賃料より高すぎないか。高い場合、退去後に同じ賃料で埋まらないことがあります。
エリアごとの利回りの目安として、Urbalytics に掲載された東京都内の一棟物件の売出事例から、駅ごとの表面利回りの中央値を集計しました。
| 最寄駅 | 集計件数 | 表面利回り(中央値) |
|---|---|---|
| 池袋 | 167件 | 4.7% |
| 中野 | 122件 | 4.6% |
| 練馬 | 72件 | 4.8% |
| 蒲田 | 131件 | 5.1% |
| 北千住 | 177件 | 5.5% |
出典:Urbalytics(2026年9月集計、売出価格ベース)。同じ駅でも築年数・構造・駅距離で利回りには大きな幅があります。相場より利回りが極端に高い物件は、築年数・空室・権利関係など理由があることが多いため、その理由を確認してから判断します。
選ぶ前に決めておきたいこと
- 毎月のキャッシュフローを重視するのか、将来の売却益や資産の安定を重視するのか
- 自己資金をいくらまで出せるか、融資をどこまで使うか
- 管理を自分でするか、管理会社に任せるか
- 何年くらい持つつもりか(出口の想定)
これが決まると、選ぶべき物件の種類・エリア・築年数が絞り込めます。購入の手順は「収益物件購入の流れ」をご覧ください。
まとめ
- 区分・一棟アパート・一棟マンション・戸建てで、利回り・空室リスク・融資の条件が違う。
- 立地は駅距離・路線・人口の動き・生活利便性・競合物件で見る。
- 建物は構造・耐震基準・修繕履歴・間取り・検査済証を確認する。
- 権利・法令は、借地権・接道・容積率超過・セットバックに注意する。
- 表面利回りだけでなく、実質利回り・返済後のキャッシュフロー・賃料の相場との差で判断する。
トップ画像:Photo by Konstantin Artyushkevich on Unsplash(イメージ)
この記事について
- 執筆
- 李 瀟(販売・PM事業責任者)保有資格:宅地建物取引士・ビル経営管理士
不動産販売およびプロパティマネジメントの実務責任者。NTT コミュニケーションズにて 8 年以上、大手企業向け DX 案件のプロジェクトマネージャーとして、要件定義から納品・運用までの全工程を統括。TLL では収益不動産の販売戦略立案、投資家ソーシング、契約実行、決済・引渡しまでの一連のディールマネジメントを担当し、国内外の投資家・事業者に対して最適な物件提案とスムーズな取引執行を提供。
プロフィールを見る → - 運営
- TLL合同会社宅地建物取引業 東京都知事(1)第108202号住宅宿泊管理業 国土交通大臣(01)第F03424号
記事中のデータは出典と集計時点を明記しています。相場や制度は変わることがあるため、個別の判断は最新情報と専門家へのご相談のうえで行ってください。





