
収益物件購入時の諸費用はいくら?内訳と計算方法、1億円の一棟アパートでの試算
収益物件を買うときは、物件の価格とは別に、仲介手数料や登記費用、税金、融資の手数料などの諸費用がかかります。融資を使っても諸費用は自己資金で用意するのが一般的なため、購入前にいくら必要かを把握しておくことが大切です。
この記事では、収益物件の購入時にかかる諸費用の内訳と計算方法、1億円の一棟アパートを例にした試算、決済時に受け取る・支払う精算金について解説します。
諸費用は大きく4種類
| 種類 | 主な費用 | 支払う時期 |
|---|---|---|
| 取引にかかる費用 | 仲介手数料、売買契約書の印紙 | 契約時・決済時 |
| 登記にかかる費用 | 登録免許税(所有権移転・抵当権設定)、司法書士報酬 | 決済時 |
| 融資にかかる費用 | 事務手数料、保証料、金銭消費貸借契約書の印紙、団体信用生命保険 | 決済時 |
| 購入後の税金・保険 | 不動産取得税、火災保険・地震保険 | 決済時〜数か月後 |
取引にかかる費用
- 仲介手数料:不動産会社の仲介で買う場合にかかります。上限は売買価格(税抜)が400万円を超える場合「売買価格 × 3% + 6万円」に消費税を加えた額です。売主が不動産会社で、その会社から直接買う場合はかかりません。
- 印紙税:売買契約書に貼ります。5,000万円超1億円以下は3万円、1億円超5億円以下は6万円です(軽減措置。2027年3月31日までに作成する契約書が対象)。
仲介手数料の計算方法は「仲介手数料の上限と計算方法」で詳しく解説しています。
登記にかかる費用
- 所有権移転の登録免許税:固定資産税評価額に税率を掛けて計算します。土地は本則2%(売買による土地の軽減措置が適用される期間は1.5%)、建物は2%です。自分が住まない投資用の建物には、住宅用家屋の軽減税率は使えません。
- 抵当権設定の登録免許税:融資を受ける場合、借入額(債権額)の0.4%です。
- 司法書士報酬:登記手続きを司法書士に依頼する報酬です。物件の数や登記の内容によって変わるため、見積もりで確認します。
融資にかかる費用
- 事務手数料:金融機関によって、定額型と、借入額に一定の割合を掛ける定率型があります。
- 保証料:保証会社の保証をつける場合にかかります。事務手数料に含まれる、または金利に上乗せされる場合もあります。
- 金銭消費貸借契約書の印紙:借入額が5,000万円超1億円以下なら6万円、1億円超5億円以下なら10万円です(こちらは軽減措置の対象外)。
- 団体信用生命保険:保険料が金利に含まれている場合と、別に支払う場合があります。
購入後にかかる税金と保険
- 不動産取得税:購入から数か月後に都道府県から納税通知が届きます。固定資産税評価額 × 税率で計算し、土地と住宅は3%(本則4%の軽減措置)、宅地は課税標準を2分の1にする特例があります。
- 火災保険・地震保険:融資の条件として加入を求められることが一般的です。補償内容と期間によって保険料が変わります。
1億円の一棟アパートでの試算例
次の前提で試算します。物件価格1億円(土地の固定資産税評価額4,000万円、建物2,000万円)、仲介で購入し、8,000万円を借り入れる場合です。
| 費用 | 計算 | 金額(概算) |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | (1億円 × 3% + 6万円)× 1.1 | 336.6万円 |
| 売買契約書の印紙 | 軽減措置適用 | 3万円 |
| 登録免許税(土地) | 4,000万円 × 1.5% | 60万円 |
| 登録免許税(建物) | 2,000万円 × 2% | 40万円 |
| 登録免許税(抵当権設定) | 8,000万円 × 0.4% | 32万円 |
| 金銭消費貸借契約書の印紙 | 借入額5,000万円超1億円以下 | 6万円 |
| 融資事務手数料 | 例として借入額の1.1% | 88万円 |
| 不動産取得税(土地) | 4,000万円 × 1/2 × 3% | 60万円 |
| 不動産取得税(建物) | 2,000万円 × 3% | 60万円 |
| 合計 | 約686万円 |
このほか、司法書士報酬、火災保険料、保証料などがかかります。この例では、物件価格のおよそ7%前後が諸費用の目安になります。仲介を通さない、融資を使わないといった条件で大きく変わるため、物件ごとに見積もりを取って確認します。
決済時の精算金
オーナーチェンジの物件では、決済時に次の精算を行います。
- 固定資産税・都市計画税:その年の税額を、引渡し日を基準に日割りし、引渡し日以降の分を買主が売主に支払います。
- 賃料:当月の賃料を日割りし、引渡し日以降の分を売主から受け取ります。
- 敷金:売主が入居者から預かっている敷金は、退去時に返す義務とともに買主に引き継がれます。売買代金から差し引いて精算するのが一般的です。
敷金の引継ぎがある分、手元に必要な現金は少なくなることもありますが、退去時の返還に備えて資金を残しておく必要があります。
まとめ
- 諸費用は取引・登記・融資・購入後の税金と保険の4種類。自己資金で用意するのが一般的。
- 投資用の建物には住宅用家屋の登録免許税の軽減は使えない。
- 不動産取得税は購入の数か月後に届く。資金計画に入れておく。
- 1億円・仲介・融資8,000万円の例では、諸費用は物件価格の7%前後が目安。
- 決済時は固定資産税・賃料の日割り精算と、敷金の引継ぎを行う。
トップ画像:Photo by Jakub Żerdzicki on Unsplash(イメージ)
この記事について
- 執筆
- 徳冨 絵美(仕入)保有資格:宅地建物取引士
不動産実務では営業サポート、賃貸管理、仲介を経て、現在は仕入れを担当。宅地建物取引士・簿記資格を保持し、語学・法務・財務の多角的な視点から物件価値を分析する。不動産業界で18年以上の実務経験を活かし、正確かつ迅速な対応で組織の信頼を支えている。
プロフィールを見る → - 運営
- TLL合同会社宅地建物取引業 東京都知事(1)第108202号住宅宿泊管理業 国土交通大臣(01)第F03424号
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