
外国籍の方が日本で不動産を購入するときの注意点|融資・手続き・税金・管理
日本では、外国籍の方や海外にお住まいの方でも、原則として日本人と同じように不動産を購入し、所有することができます。ただし、融資の受けやすさ、購入時の手続き、賃料収入や売却時の税金など、日本に住む日本人とは異なる点がいくつかあります。
この記事では、外国籍の方が日本、特に東京で収益物件を購入するときに知っておきたいポイントを、購入前・購入時・保有中・売却時の順に解説します。
外国籍の方も不動産を所有できる
日本には、外国籍であることを理由に土地や建物の所有を一般的に制限する法律はありません。在留資格がなくても、海外に住んだままでも購入できます。
ただし、次のような例外や手続きがあります。
- 重要土地等調査法:防衛関係施設の周辺など、国が指定した「特別注視区域」内で一定面積(200㎡)以上の土地・建物を売買する場合は、事前の届出が必要です。
- 外為法の報告:日本に住んでいない方(非居住者)が日本の不動産を取得した場合、原則として取得から20日以内に、日本銀行を経由して財務大臣に報告する必要があります(自分や親族が住むための取得など、報告が不要な場合もあります)。
購入前:日本・東京の賃貸市場の特徴
- 都市部の賃貸需要:日本全体の人口は減っていますが、東京圏には進学・就職で人が集まり続けており、単身者向けを中心に賃貸の需要が続いています。
- 所有権の安定:土地を含めて完全な所有権を持てる物件が多く、登記制度で権利関係を確認できます。
- 金利環境の変化:日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、その後も政策金利を段階的に引き上げています。かつてほどの低金利ではなくなっているため、利回りと借入金利の差は購入前に確認しておきます。
- 為替:円建ての資産になるため、自国通貨で見た価値は為替レートで変わります。
エリアごとの利回りの目安は「収益物件の選び方」で紹介しています。
融資:受けられるかは在留資格と居住地しだい
日本の金融機関は、外国籍の方への融資で、日本に長く住み続けるかどうかを重視します。
| 状況 | 融資の受けやすさの目安 |
|---|---|
| 永住権がある、または配偶者が日本国籍 | 日本人に近い条件で審査されることが多い |
| 日本に住み、就労ビザで働いている | 在留期間・勤続年数・年収によっては可能。自己資金を多めに求められやすい |
| 海外に住んでいる(非居住者) | 日本の多くの金融機関では難しい。現金購入や、一部の外国人向け金融機関の利用が中心 |
融資の審査では、日本語で金融機関とやり取りできるかも見られることがあります。審査のポイントは「不動産投資ローンの基礎」で解説しています。
購入時:書類と送金の準備
- 印鑑と印鑑証明:日本に住民登録がない方は印鑑登録ができないため、署名(サイン)と、本国や在日大使館などで発行されるサイン証明で代えるのが一般的です。
- 住所の証明:住民票の代わりに、本国の公証制度による宣誓供述書などを使います。
- 送金:海外から代金を送る場合、資金の出どころを説明する書類を求められることがあります。送金には日数がかかるため、決済日から逆算して準備します。
- 言語:重要事項説明書や売買契約書は日本語です。内容を理解できるよう、母国語や英語で説明できる不動産会社や通訳の同席をおすすめします。
購入の手順そのものは日本人と同じです。流れは「収益物件購入の流れ」をご覧ください。
保有中:管理と税金
- 管理会社:海外にお住まいの場合、入居者対応や修繕の手配を自分で行うのは難しいため、管理会社に任せるのが現実的です。
- 納税管理人:日本に住んでいない方が確定申告や納税をするには、日本に住む納税管理人を届け出るのが一般的です。
- 賃料の源泉徴収:非居住者に賃料を支払う法人などは、原則として賃料の20.42%を源泉徴収します。実際の所得税額との差は確定申告で精算します。
- 固定資産税・都市計画税:毎年、物件の所在地の自治体に納めます。
- 自国での課税:日本で得た賃料収入が自国でも課税される場合、租税条約で二重課税を調整できることがあります。税理士に確認します。
売却時:税金と源泉徴収
- 譲渡所得税:売却益には所得税・住民税がかかります。売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうかで税率が変わります(2026年時点、長期20.315%・短期39.63%。非居住者は住民税がかからない場合があります)。
- 買主による源泉徴収:非居住者から不動産を買う買主は、原則として売買代金の10.21%を源泉徴収して税務署に納めます(個人が自分や親族の住まいとして1億円以下で買う場合などを除く)。売主は確定申告で精算します。
売却の流れは「収益物件売却の流れ」で解説しています。
まとめ
- 外国籍の方も日本の不動産を所有できる。特別注視区域の届出や、非居住者の外為法の報告には注意する。
- 融資は永住権・在留期間・居住地で受けやすさが大きく変わる。非居住者は現金購入が中心。
- 印鑑の代わりにサイン証明、住民票の代わりに宣誓供述書などを使う。送金の日数も見込む。
- 保有中は管理会社と納税管理人を用意する。非居住者の賃料には源泉徴収がある。
- 売却時は、買主が代金の10.21%を源泉徴収する場合がある。税金は税理士に確認する。
トップ画像:Photo by Ryo Yoshitake on Unsplash(イメージ)
この記事について
- 執筆
- 徳冨 絵美(仕入)保有資格:宅地建物取引士
不動産実務では営業サポート、賃貸管理、仲介を経て、現在は仕入れを担当。宅地建物取引士・簿記資格を保持し、語学・法務・財務の多角的な視点から物件価値を分析する。不動産業界で18年以上の実務経験を活かし、正確かつ迅速な対応で組織の信頼を支えている。
プロフィールを見る → - 運営
- TLL合同会社宅地建物取引業 東京都知事(1)第108202号住宅宿泊管理業 国土交通大臣(01)第F03424号
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