天井に取り付けられた点灯中の蛍光灯(イメージ)

蛍光灯の2027年問題|アパート共用部をLEDに替える費用と電気代の削減額、回収期間の試算

栗原 瑞樹(宅地建物取引士)PM事業

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アパートの廊下や階段、エントランスの照明に、いまも蛍光灯を使っている建物は少なくありません。「蛍光灯は2027年で使えなくなる」と聞いて慌てて交換を検討するオーナー様もいますが、実際に禁止されるのは製造と輸出入で、手元の蛍光灯を使い続けること自体は禁止されていません。

とはいえ、交換用のランプは今後手に入りにくくなり、古い器具は安定器の劣化も進みます。この記事では、水銀に関する水俣条約にもとづく蛍光ランプの規制の内容と時期、共用部をLEDに替える費用、電気代の削減額と回収期間の試算を、前提条件を明記したうえで整理します。

この記事のポイント

  • 水銀汚染防止法の施行令改正(2024年12月)により、一般照明用の蛍光ランプは種類ごとに製造・輸出入が禁止され、直管形・環形は2028年1月1日から禁止になります(環境省)。使用・販売・購入は禁止されません。
  • TLLが受け取った工事見積(2025〜2026年、3件)では、照明のLED化は器具ごとの交換で1か所あたり約1.1万〜2.0万円、ランプ交換が中心とみられる工事で約3,900円(税抜)でした。
  • 1灯あたり20W削減・電気単価31円/kWh・工事費1.5万円の前提で試算すると、器具ごとLED化した費用の回収期間は、12時間点灯で約5.5年、24時間点灯で約2.8年です。

蛍光灯の2027年問題とは:製造と輸出入が段階的に禁止

「蛍光灯の2027年問題」とは、一般照明用の蛍光ランプの製造と輸出入が2027年末までに段階的に禁止されることを指します。2023年10〜11月に開かれた水銀に関する水俣条約の第5回締約国会議(COP5)で、すべての一般照明用蛍光ランプの製造・輸出入を2027年末までに廃止することが決まりました。日本では2024年12月に水銀汚染防止法の施行令が改正され、一般照明用の蛍光ランプがすべて規制対象(特定水銀使用製品)に指定されています。

ランプの種類製造・輸出入が禁止される日アパートでの主な使用場所
電球形蛍光ランプ2026年1月1日(30W超は2027年1月1日)玄関灯・外灯・ダウンライト
コンパクト形蛍光ランプ2027年1月1日ダウンライト・ブラケット
直管形蛍光ランプ2028年1月1日(ハロりん酸塩蛍光体のものは2027年1月1日)廊下・階段・駐輪場・室内のキッチン灯
環形蛍光ランプ2028年1月1日(ハロりん酸塩蛍光体のものは2027年1月1日)廊下の丸型照明・室内のシーリングライト

出典:環境省「一般照明用の蛍光ランプの規制について」、経済産業省・環境省資料。一部に例外があります。確認日:2026年10月2日。

禁止されるのは製造と輸出入で、すでに設置している蛍光灯の使用や、店頭在庫の販売・購入は禁止されていません。ただし、禁止日を過ぎると新たな生産がなくなるため、交換用ランプは在庫限りになり、今後は入手しにくくなることが考えられます。共用部の照明が切れても交換できない、という事態を避けるには、在庫があるうちに計画的に切り替えるのが現実的です。

外階段と廊下の照明が灯る夜の集合住宅
外階段と廊下の照明が灯る夜の集合住宅(イメージ)Photo: Yunshuo Qu / Unsplash

ランプだけ替えるか、器具ごと替えるか

共用部をLED化する方法は、蛍光灯の器具をそのまま使ってLEDランプに差し替える方法と、器具ごとLED照明に交換する方法の2つです。設置から年数がたった器具は、器具ごとの交換が基本と考えてください。

蛍光灯の器具には安定器という部品が組み込まれており、年数とともに劣化します。日本照明工業会は、照明器具の適正交換時期を8〜10年、耐用の限度を15年としています。照明メーカーも、蛍光灯器具をLED化するときは器具ごとの交換を推奨しており、古い器具にLEDランプだけを付けると、発煙や発火などの事故につながるおそれがあると注意を呼びかけています。器具に適合しない直管LEDランプを取り付けるのも同様に危険です。

共用部には、停電時に点灯する非常用照明や、避難経路を示す誘導灯が設置されている場合があります。これらは建築基準法や消防法の基準に適合した製品を使う必要があるため、一般の照明とは分けて、消防設備業者や電気工事業者に確認しながら交換します。

交換後の使用済み蛍光管は水銀を含みます。アパートの共用部のように事業活動から出るものは、家庭ごみと同じ扱いにはできず、廃棄物処理法などに沿って処理する必要があります。工事を依頼する際に、撤去した蛍光管の処分まで見積に含まれているかを確認しておくと手間が省けます。

共用部をLEDに替える費用の目安

照明のLED化の費用は、器具ごとの交換で1か所あたり1万〜2万円程度、ランプの交換が中心の工事では数千円程度です。TLLが受け取った工事見積から、LED化の明細を1か所あたりの単価に直しました。

工事の内容(見積明細)か所数金額(税抜)1か所あたり見積の時期
照明器具のLED交換(器具+ランプ込み)5か所100,000円20,000円2026年3月
40形LED照明の設置6か所65,000円約10,800円2025年11月
蛍光灯からLEDへの交換(ランプ交換が中心とみられる単価)6か所23,500円約3,900円2025年

出典:TLLが受け取った工事見積(東京都・埼玉県の賃貸物件、3件)の明細。サンプルが3件と少ないため参考値で、器具の種類・高さ・配線の状態で費用は変わります。参考として、同じくTLLが受け取った2024年の見積では、40形の直管蛍光灯が1本1,700円(税抜)でした。集計日:2026年10月2日。

照明のLED化工事の1か所あたり費用。器具ごと交換Aが20,000円、器具ごと交換Bが約10,800円、ランプのみ交換が約3,900円(税抜、TLL受領見積3件)
照明のLED化工事 1か所あたりの費用(出典:TLL受領の工事見積(東京都・埼玉県、3件)。小さなサンプルのため参考値)

器具ごとの交換は、ランプだけの交換に比べて初期費用が3〜5倍かかりますが、安定器の劣化による事故のおそれがなくなり、器具そのものも新しくなります。共用部が20灯の建物なら、1灯1.5万円として器具ごとの交換で約30万円が目安です。

電気代の削減額と回収期間の試算

共用部の照明を器具ごとLEDに替えると、1灯あたりの年間電気代は12時間点灯で約2,700円、24時間点灯で約5,400円下がる計算です。試算の前提は次のとおりです。

  • 消費電力:蛍光灯器具(40形1灯)を約40W、LED器具を約20Wとし、1灯あたり20Wの削減とする(実際の値は器具の型番で確認)
  • 点灯時間:屋外廊下・外階段はタイマーなどで夜間のみ1日12時間、内廊下・階段室は24時間とする
  • 電気単価:全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価31円/kWh(税込、2022年7月改定)。共用部の契約によって実際の単価は異なる
  • 工事費:器具ごと交換で1灯あたり1.5万円(上表のTLL受領見積の約1.1万〜2.0万円の中間)
灯数工事費(器具ごと交換)年間削減額(12時間点灯)年間削減額(24時間点灯)
10灯15万円約2.7万円約5.4万円
20灯30万円約5.4万円約10.9万円
30灯45万円約8.1万円約16.3万円

出典:上記の前提によるTLLの試算。削減額=20W×点灯時間×365日×31円/kWh×灯数。ランプ交換の費用や作業費の削減は含めていません。集計日:2026年10月2日。

共用部LED化の年間電気代削減額の試算。12時間点灯では10灯2.7万円、20灯5.4万円、30灯8.1万円。24時間点灯では5.4万円、10.9万円、16.3万円
共用部LED化の年間電気代削減額(試算)(出典:TLL試算。電気単価は全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価31円/kWh(税込))

回収期間は灯数によらず、点灯時間と電気単価で決まります。電気単価を25円・31円・35円の3通りで比べると、次のようになります。

電気単価回収年数(12時間点灯)回収年数(24時間点灯)
25円/kWh約6.8年約3.4年
31円/kWh約5.5年約2.8年
35円/kWh約4.9年約2.4年

出典:1灯あたり工事費1.5万円÷1灯あたり年間削減額によるTLLの試算。集計日:2026年10月2日。

器具ごとLED化した場合の回収年数の試算。12時間点灯では25円/kWhで6.8年、31円で5.5年、35円で4.9年。24時間点灯では3.4年、2.8年、2.4年
器具ごとLED化した場合の回収年数(試算)(出典:TLL試算(ランプ交換費の削減は含まない))

この試算には、蛍光ランプの買い替えや交換作業の費用が減る効果を入れていません。LEDは蛍光ランプより交換の頻度が少ないため、実際の回収はこれより早まる可能性があります。共用部の電気代は空室があってもオーナー様の負担になる固定費なので、削減分はそのまま収支の改善につながります。家賃以外で収支を改善する方法は「アパートの付帯収入を増やす方法」でも紹介しています。

壁に取り付けられた電力量計
壁に取り付けられた電力量計(イメージ)Photo: Jon Moore / Unsplash

共用部LED化の進め方

まずは共用部の照明を種類ごとに数え、点灯時間と電気代を確認するところから始めます。器具の設置年がわかれば、器具ごと交換するかどうかの判断がしやすくなります。

共用部の照明をLEDに替える進め方:灯数と種類を数える、点灯時間と電気代を確認、器具の年数を確認、見積を取る、交換と廃棄
共用部の照明をLEDに替える進め方(出典:環境省「一般照明用の蛍光ランプの規制について」、日本照明工業会)

外壁や鉄部の塗り替えなどの大規模修繕を予定している場合は、同じ時期に照明も交換すると、足場を使って外灯や高所の器具を効率よく替えられます。修繕の時期と費用の考え方は「アパートの大規模修繕はいつ・いくら?」をご覧ください。あわせて、人感センサーや明るさセンサー付きの器具を選ぶと点灯時間そのものを減らせます。自治体によっては省エネ設備への補助制度を設けている場合もあるため、物件の所在地の区市町村で確認しておくとよいでしょう。

よくある質問

Q. 2027年を過ぎたら蛍光灯は使えなくなりますか?

使えなくなるわけではありません。禁止されるのは製造と輸出入で、すでに設置している蛍光灯の使用や在庫品の販売・購入は禁止されていません。ただし、交換用ランプは在庫限りになるため、計画的な切り替えが必要です。

Q. 直管形の蛍光灯はいつから製造禁止ですか?

直管形と環形は2028年1月1日から製造・輸出入が禁止されます(ハロりん酸塩蛍光体を使うものは2027年1月1日から)。電球形は2026年1月1日(30W超は2027年1月1日)、コンパクト形は2027年1月1日からです。

Q. 蛍光灯の器具にLEDランプだけを付けても大丈夫ですか?

器具に組み込まれた安定器が劣化していると、発煙や発火のおそれがあります。日本照明工業会は照明器具の適正交換時期を8〜10年としており、年数のたった器具は器具ごとの交換を検討してください。

Q. 共用部をLEDにすると電気代はいくら下がりますか?

1灯あたり20W削減・31円/kWhの前提では、年間で12時間点灯なら約2,700円、24時間点灯なら約5,400円です。20灯なら年約5.4万〜10.9万円の削減になります。

まとめ

  • 一般照明用の蛍光ランプは、直管形・環形が2028年1月1日、コンパクト形が2027年1月1日から製造・輸出入禁止です(環境省)。使用や在庫品の購入は禁止されていません。
  • 年数のたった器具は安定器が劣化しているため、器具ごとの交換が基本です。照明器具の適正交換時期は8〜10年とされています(日本照明工業会)。
  • TLLの受領見積では、器具ごとのLED化が1か所約1.1万〜2.0万円(税抜、3件の参考値)でした。
  • 20W削減・31円/kWh・工事費1.5万円の前提で、回収期間は12時間点灯で約5.5年、24時間点灯で約2.8年です。

TLLの管理代行は、リーシング・入居者対応に加えて、収支モニタリング、賃料是正やコスト削減の提案、月次レポートまでをお受けしています。共用部の電気代や修繕の見積の見直しも、コスト削減のご相談としてお受けしています。詳しくは資産管理・運用サービスをご覧ください。

アイキャッチ画像(イメージ):Photo: David Jorre / Unsplash

この記事について

執筆
栗原 瑞樹(PM事業)保有資格:宅地建物取引士・FP2級・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士

プロパティマネジメント分野で10年以上の経験を有する。賃貸管理・分譲マンション管理の両分野において、オーナー対応、入居者対応、契約管理、修繕対応、理事会・総会運営など幅広い業務を担当。

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運営
TLL合同会社宅地建物取引業 東京都知事(1)第108202号住宅宿泊管理業 国土交通大臣(01)第F03424号

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