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アパート経営の法人化はいつ検討する?個人と法人の税率比較・3つの方式・設立費用

李 瀟(宅地建物取引士)販売・PM事業責任者

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アパートの家賃収入が増えてくると、税理士や金融機関から「そろそろ法人化を考えては」と言われることがあります。個人の所得税は所得が増えるほど税率が上がる累進課税のため、一定以上の所得になると、法人で持つほうが税負担を抑えられる場合があるからです。

この記事では、個人と法人の税率の違い、法人化の3つの方式、合同会社と株式会社の違いと設立費用、法人化のデメリットと検討するタイミングを解説します。具体的な判断は個別の事情で変わるため、最終的には税理士に相談することをおすすめします。

法人化で何が変わるか

  • 税率:個人の所得税は累進課税(5〜45%)ですが、法人税は比較的フラットです。

  • 所得の分散:家族を役員や従業員にして、実際の業務に見合った報酬を支払えば、所得を分散できます。

  • 経費:役員報酬や退職金、生命保険料の一部など、法人ならではの経費の扱いがあります。

  • 相続:物件を法人で持つと、相続では不動産ではなく法人の株式(持分)を引き継ぐことになり、承継の方法を設計しやすくなります。

個人の税率と法人の税率

個人の所得税と住民税を合わせた税率は、課税所得に応じて次のとおりです。

課税所得

所得税率

住民税と合わせた税率

195万円以下

5%

15%

195万円超〜330万円以下

10%

20%

330万円超〜695万円以下

20%

30%

695万円超〜900万円以下

23%

33%

900万円超〜1,800万円以下

33%

43%

1,800万円超〜4,000万円以下

40%

50%

4,000万円超

45%

55%

出典:国税庁「所得税の税率」。住民税は一律10%として計算。このほか所得税額の2.1%の復興特別所得税がかかります(2026年時点)。

一方、中小法人の法人税・法人住民税・法人事業税を合わせた実効税率は、所得の規模によりおおむね20%台〜30%台前半です。給与所得など他の所得と合わせた課税所得が900万円を超え、税率43%の区分に入るあたりから法人化を検討する方が増えます。

法人化の3つの方式

方式

仕組み

特徴

管理委託方式

物件は個人所有のまま、管理業務を自分の法人に委託し、管理料を支払う

始めやすいが、移せる所得は管理業務に見合った管理料の範囲に限られる

サブリース方式

物件は個人所有のまま、自分の法人が一括で借り上げて入居者に転貸する

管理委託方式より多くの所得を法人に移せるが、借上げ賃料が適正であることが必要

所有方式

物件そのものを法人が所有する

家賃収入がすべて法人の収入になり効果が大きい。既存物件の移転にはコストがかかる

管理料や借上げ賃料を相場より大きくずらすと、税務上否認されるおそれがあります。実際に行っている業務と、第三者と取引した場合の水準に合わせて設定します。

既存物件を法人に移すときのコスト

所有方式で、個人で持っている物件を法人に移す場合は、個人から法人への売買になります。主に次のコストがかかります。

  • 個人側:譲渡益が出れば譲渡所得税(所有期間5年超なら長期譲渡で税率20.315%)

  • 法人側:不動産取得税、所有権移転の登録免許税、司法書士報酬

  • 融資:個人名義のローンが残っている場合は、法人での借り換えや金融機関の承諾が必要

そのため、これから買う物件を法人名義で買い、既存物件は個人のまま管理委託方式やサブリース方式を組み合わせる、という進め方もよく選ばれます。

合同会社と株式会社の違い

合同会社

株式会社

登録免許税

6万円〜

15万円〜

定款の認証

不要

必要(公証人手数料 3万〜5万円)

役員の任期

なし

あり(非公開会社は最長10年)

決算公告

義務なし

義務あり

紙の定款には4万円の収入印紙が必要ですが、電子定款にすれば不要です。資産管理を目的とする法人では、設立・運営の費用が低い合同会社が選ばれることが多くあります。

法人化のデメリット・注意点

  • 赤字でもかかる税金:法人住民税の均等割は、赤字でも毎年かかります(東京都の場合、資本金1,000万円以下・従業員50人以下の法人で年7万円)。

  • 税理士費用・事務負担:法人の決算・申告は個人より複雑で、税理士への依頼が一般的です。

  • 社会保険:役員報酬を支払うと、原則として社会保険への加入が必要になります。

  • お金の区別:法人のお金は個人のお金ではありません。私的な支出を法人の経費にすることはできません。

  • 融資の審査:新設の法人でも、代表者の資産や経営実績を見て融資する金融機関はありますが、条件は個人のときと変わることがあります。

法人化を検討するタイミング

  • 家賃収入が増え、課税所得が高い税率の区分に入ってきた

  • 今後も物件を買い増す予定がある

  • 家族が実際に管理業務を手伝っていて、報酬を支払える

  • 相続を見据えて、物件の承継方法を整えたい

法人化すると、物件ごとの収支や管理の記録を法人の帳簿として整える必要があります。管理会社から月次で収支報告を受けられる体制にしておくと、決算や融資の資料づくりが楽になります。

まとめ

  • 個人の所得税は累進課税で、住民税と合わせて最大55%。中小法人の実効税率はおおむね20%台〜30%台前半。

  • 法人化の方式は管理委託・サブリース・所有の3つ。効果と移転コストのバランスで選ぶ。

  • 既存物件を法人に移すと譲渡所得税や取得税がかかるため、新規購入から法人名義にする方法もある。

  • 資産管理法人は、設立・運営費用の低い合同会社が選ばれやすい。

  • 均等割・税理士費用・社会保険などのコストも含め、税理士と試算してから判断する。

この記事について

執筆
李 瀟(販売・PM事業責任者)保有資格:宅地建物取引士・ビル経営管理士

不動産販売およびプロパティマネジメントの実務責任者。NTT コミュニケーションズにて 8 年以上、大手企業向け DX 案件のプロジェクトマネージャーとして、要件定義から納品・運用までの全工程を統括。TLL では収益不動産の販売戦略立案、投資家ソーシング、契約実行、決済・引渡しまでの一連のディールマネジメントを担当し、国内外の投資家・事業者に対して最適な物件提案とスムーズな取引執行を提供。

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TLL合同会社宅地建物取引業 東京都知事(1)第108202号住宅宿泊管理業 国土交通大臣(01)第F03424号

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