家賃保証会社とは?オーナーが知っておきたい仕組み・費用・選び方と滞納時の注意点
いまの賃貸契約では、入居者に家賃保証会社の利用を求めるのが一般的になりました。一方で、「保証会社をつけていれば滞納の心配はない」「どの保証会社でも同じ」と考えていると、いざというときに想定していた保証が受けられないことがあります。
この記事では、アパート・マンションのオーナー様向けに、家賃保証会社の仕組み、費用の負担、保証会社の種類と選び方、滞納が起きたときに注意すべき点を解説します。
家賃保証会社とは
家賃保証会社は、入居者の連帯保証人の代わりに家賃の支払いを保証する会社です。入居者が家賃を滞納すると、保証会社がオーナーに家賃を立て替えて支払い(代位弁済)、その後、保証会社が入居者に請求します。
オーナーから見ると、家賃の回収リスクを保証会社に移せることが最大の役割です。入居者から見ると、親族などに連帯保証人を頼めなくても部屋を借りられるという利点があります。
保証会社の利用が広がった背景
保証会社の利用が当たり前になった理由には、借り手の変化と法改正の両方があります。
- 連帯保証人を立てにくい入居者の増加:単身世帯、高齢の方、外国籍の方など、親族に保証人を頼みにくい入居者が増えています。
- 2020年4月の民法改正:個人が連帯保証人になる賃貸借契約では、保証の上限額(極度額)を書面で定めないと保証契約が無効になりました。個人保証人の負担が明確になったことで、保証人を引き受けてもらいにくくなり、保証会社の利用がさらに広がりました。
- 家賃債務保証業者の登録制度:2017年10月から、国土交通省による家賃債務保証業者の登録制度が始まっています(任意の登録制度)。一定の基準を満たした保証会社を選ぶ目安になります。
保証の仕組みと保証の範囲
保証会社を使った賃貸借契約は、おおむね次の流れで進みます。
- 入居希望者が申し込み、保証会社が審査する(収入・勤務先・過去の支払い状況など)
- 審査に通ると、入居者と保証会社が保証委託契約を結び、オーナー(または管理会社)と保証会社が保証契約を結ぶ
- 滞納が発生したら、オーナー側が保証会社に報告し、保証会社が立て替える
- 保証会社が入居者に請求・督促する
何をどこまで保証するかは、保証会社とプランによって異なります。契約前に次の項目を確認します。
| 保証の対象 | 確認するポイント |
|---|---|
| 月額賃料・共益費・管理費 | 何か月分まで保証されるか(上限) |
| 駐車場代などの付帯費用 | 保証の対象に含まれるか |
| 更新料・違約金 | 保証の対象に含まれるか |
| 退去時の原状回復費用 | 対象か、上限額はいくらか |
| 明渡し訴訟などの法的手続き費用 | 保証会社が負担するか |
| 残置物の撤去費用 | 対象か、上限額はいくらか |
保証料は誰が、いくら払うのか
保証料は一般に入居者が負担します。支払い方は大きく分けて次の2つです。
- 初回+更新型:契約時に月額賃料等の一定割合(数十%〜100%程度)を支払い、その後は1年ごとなどに更新料を支払う
- 月額型:毎月、賃料等の一定割合を支払う
保証料が高いと入居者の初期費用が増え、申込みをためらう原因になることもあります。空室対策として初期費用を抑えたい場合は、保証料の設定も含めて保証会社を比べます。保証料の水準は保証会社・プランによって異なるため、管理会社を通じて最新の条件を確認してください。
保証会社の種類
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 信販系 | クレジットカード会社などが運営。審査で信用情報機関の情報を使うため、審査は比較的厳しい傾向。家賃をカード払いや口座振替で回収する仕組みを持つ |
| 協会系 | 業界団体に加盟する保証会社。加盟社どうしで滞納履歴などの情報を共有している |
| 独立系 | 上記に属さない保証会社。審査基準は各社独自で、柔軟に審査する会社もある |
審査が厳しい保証会社ほど、滞納リスクの低い入居者に絞られる一方で、審査に通る人が減り、空室期間が長くなることもあります。物件の立地や想定する入居者層に合わせて、どの保証会社を使うかを管理会社と決めます。
オーナーが保証会社を選ぶときのポイント
- 保証の範囲と上限:前の表の項目のうち、どこまで対象か。
- 代位弁済のスピード:滞納を報告してから、いつオーナーに支払われるか。
- 登録業者かどうか:国土交通省の家賃債務保証業者として登録されているか。
- 督促の方法:法令を守った督促をしているか。行き過ぎた督促は、オーナーや管理会社の評判にも影響します。
- 外国籍の方への対応:多言語で審査・契約・督促ができるか。
- 経営の安定性:保証会社が倒産すると、その後の保証が受けられなくなるおそれがあります。
保証会社と連帯保証人・緊急連絡先の関係
保証会社を利用する場合でも、多くの保証会社は入居者に緊急連絡先(親族など)の届出を求めます。緊急連絡先は保証人ではないため家賃の支払い義務はありませんが、入居者と連絡が取れないときや、万一の事故の際に重要な窓口になります。
また、保証会社に加えて個人の連帯保証人も求める契約にする場合は、2020年4月以降の契約では極度額(保証の上限額)を契約書に明記する必要があります。極度額の記載がない個人保証は無効になるため、古い契約書のひな形を使い続けていないか確認しておきましょう。
滞納が起きたときの注意点
保証会社をつけていても、オーナー側でやるべきこと、やってはいけないことがあります。
- 滞納はすぐに報告する:多くの保証契約では、滞納の報告期限が決められています。期限を過ぎると保証を受けられないことがあるため、入金状況を毎月確認します。
- 自力で追い出さない:滞納が続いても、オーナーや管理会社が勝手に鍵を交換したり、室内の荷物を運び出したりすることは法律上認められていません(自力救済の禁止)。明渡しを求めるときは、話し合いか、明渡し訴訟などの法的手続きによります。
- 保証会社の契約条項にも限界がある:2022年12月の最高裁判決では、家賃保証会社の「一定の条件を満たせば、入居者が物件を明け渡したものとみなす」という契約条項が、消費者契約法に反するとして使用の差止めが命じられました。保証会社がついていれば明渡しまで任せられる、とは限りません。
滞納や明渡しの対応は、保証会社・管理会社・必要に応じて弁護士と連携して進めるのが安全です。
まとめ
- 家賃保証会社は、連帯保証人の代わりに家賃を保証し、滞納時は立て替えて支払う。
- 2020年4月の民法改正で個人保証人に極度額の定めが必要になり、保証会社の利用がさらに広がった。
- 保証の範囲(賃料の上限、原状回復費、訴訟費用など)は保証会社・プランで異なるため、契約前に確認する。
- 保証料は一般に入居者負担。高すぎると空室の原因にもなる。
- 滞納はすぐに報告し、自力での追い出しはしない。
保証会社の選定や滞納時の対応は、管理会社に任せられる業務のひとつです。TLL の管理代行では、物件と入居者層に合わせた保証会社の選定から、滞納時の保証会社との連携までを行っています。詳しくは資産管理・運用サービスをご覧ください。空室対策については「アパートの空室対策」も参考にしてください。
この記事について
- 執筆
- TLL編集部
- 運営
- TLL合同会社宅地建物取引業 東京都知事(1)第108202号住宅宿泊管理業 国土交通大臣(01)第F03424号
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