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日差しが入る空室の和室(イメージ)

アパートの空室対策|賃料の見直し・AD・入居条件の広げ方と、値下げ前に確認したいこと

約6分で読めます執筆:TLL編集部

退去が出たあと、なかなか次の入居者が決まらない。募集を続けるうちに、管理会社や仲介会社から「賃料を下げましょう」と言われる。一棟アパートのオーナー様からよく伺う悩みです。

賃料の値下げは確かに効きますが、収益物件では値下げの影響が毎月の家賃収入だけでなく、物件の評価額にも及びます。この記事では、空室が埋まらない原因の切り分け方と、値下げの前に打てる対策、値下げするならどう計算して判断するかを解説します。

空室が埋まらない原因を3つに分ける

空室対策は、原因によって打つ手が変わります。まず、次のどれに当たるかを確認します。

原因よくある状態主な対策
賃料が相場とずれている問い合わせ自体が少ない同条件の募集賃料と比べて見直す
募集が届いていないポータルサイトの掲載が少ない、仲介会社が紹介しない掲載の見直し、AD(広告料)、写真の改善
部屋・条件が合っていない内見はあるが申込みにつながらない入居条件の緩和、設備の追加、原状回復の質

問い合わせ数と内見数は管理会社や仲介会社に聞けばわかります。「問い合わせが少ない」のか「内見はあるが決まらない」のかで、見直すべき点がはっきり分かれます。

まず賃料を「同じ条件」の相場と比べる

賃料が高すぎるかどうかは、駅距離・面積・築年数・設備が近い部屋と比べないと判断できません。比べるときは総額ではなく、1㎡あたりの賃料(㎡単価)で見ると面積の違いを揃えられます。

例として、中野駅周辺の専有面積18〜30㎡の賃貸募集事例を、駅からの徒歩分数ごとに集計しました。

駅からの距離集計件数㎡単価(中央値)25㎡に換算した月額
徒歩5分以内78件約4,550円約11.4万円
徒歩10分以内296件約4,250円約10.6万円
徒歩20分以内389件約4,200円約10.5万円

出典:Urbalytics(2026年9月集計、募集賃料ベース)。成約賃料とは異なり、築年数・設備による差も含んだ数値です。

同じ駅でも、駅からの距離だけで月数千円の差が出ます。自分の部屋より駅に近い物件や、築浅の物件と比べて「相場より高い」と判断してしまわないよう、条件を揃えて比べることが大切です。条件を揃えても相場より明らかに高い場合は、賃料の見直しを検討します。

仲介会社に紹介してもらう:AD(広告料)とフリーレント

入居者の多くは、ポータルサイトで物件を見つけたあと、仲介会社(客付け業者)を通して申し込みます。仲介会社が同じ条件の部屋を複数抱えているとき、どの部屋を優先して紹介するかは、条件の良さに加えてオーナー側の募集条件にも左右されます。

施策内容向いている場面
AD(広告料)入居が決まったときに、オーナーが仲介会社へ広告料を支払う。賃料の1〜2か月分程度が多い問い合わせ・紹介を増やしたいとき
フリーレント入居後の一定期間(例:1か月)の賃料を無料にする入居者の初期費用の負担を下げたいとき
礼金・敷金の減額初期費用を下げる同じエリアで初期費用が低い物件と競合しているとき

いずれも一度きりの費用で、毎月の賃料は変わりません。賃料を下げる前に、まずこれらで決まるかを試すのが一般的な順番です。

募集を始めるタイミングも見直す

賃貸の需要には季節の波があり、進学・就職・転勤が重なる1〜3月は部屋探しをする人が増えます。この時期に空室を残さないよう、退去の予告を受けた時点で、退去前から募集を始める(居住中募集)方法があります。内見は退去後になることもありますが、募集開始が1か月早まるだけで、空室期間を短くできる場合があります。反対に、需要が落ち着く時期に退去が出た場合は、ADやフリーレントを早めに組み合わせて、次の繁忙期まで空けたままにしないことが大切です。

入居条件を広げる

入居できる人の範囲を広げると、募集の対象が増えます。ただし条件ごとに注意点があるため、管理会社と対応方針を決めたうえで始めます。

  • ペット可:床や壁の傷みが出やすいため、敷金を上乗せする、原状回復の範囲を契約で明確にするなどの備えが必要です。既存の入居者への配慮(鳴き声・におい)も考えます。
  • 外国籍の方:多言語に対応した保証会社や管理会社を使えば、契約時の説明やゴミ出しルールの案内などの負担を減らせます。
  • 高齢の方:見守りサービスの利用や、国土交通省が公表している「残置物の処理等に関するモデル契約条項」の活用で、万一のときの対応に備えられます。
  • 生活保護を受給している方:住宅扶助の家賃を自治体から家主に直接支払う「代理納付」を使える場合があります。自治体ごとの扱いと住宅扶助の上限額を確認し、対応に慣れた管理会社と進めます。
  • 法人契約・マンスリー:社宅として法人に貸す、家具付きの短期賃貸にするなど、借り手の種類を変える方法もあります。

部屋の見せ方と設備を整える

内見はあるのに申込みにつながらない場合は、部屋そのものや見せ方に原因があることが多いです。

  • 写真:ポータルサイトでは写真が最初の判断材料になります。明るい時間に、広角で、室内・水回り・眺望を撮り直すだけでも反響は変わります。
  • 原状回復のスピード:退去後の清掃・修繕が遅れると、その間は募集も内見もできません。退去の連絡を受けた時点で業者を手配するのが理想です。
  • 設備:無料インターネット、宅配ボックス、防犯カメラ、モニター付きインターホンなど、単身者向けの物件で求められやすい設備を検討します。費用と、それで賃料をどれだけ維持できるかを比べて判断します。
  • 共用部:エントランスやゴミ置き場が汚れていると、部屋がきれいでも印象が下がります。定期清掃の頻度を見直します。

退去を減らすことも空室対策

空室を埋めるのと同じくらい、今の入居者に長く住んでもらうことも大切です。退去が出るたびに、原状回復費・AD・空室期間の賃料という3つのコストがかかります。

  • 設備の故障やクレームに早く対応する
  • 共用部を清潔に保つ
  • 更新時に満足度のアンケートを取り、不満を早めに把握する

なお、更新のタイミングで相場より賃料が低い部屋は、賃料の増額を相談できる場合があります。増額には入居者の合意が必要なため、周辺相場のデータを示して丁寧に交渉します。

値下げの前に「評価額」への影響を計算する

収益物件の価格は、おおむね「年間賃料 ÷ 利回り」で決まります。そのため賃料を下げると、家賃収入が減るだけでなく、売却するときの評価額も下がります。月10万円の部屋を例に、ADと値下げを比べてみます。

施策オーナーの負担評価額への影響(利回り5%で単純計算)
AD 1か月分10万円(1回のみ)なし(賃料は変わらない)
賃料を月5,000円値下げ年6万円(入居中ずっと続く)約120万円の減少

1室だけなら小さく見えても、10室で同じ値下げをすれば評価額は単純計算で約1,200万円変わります。売却を考えている物件ほど、値下げは最後の手段として、ADや条件の見直しを先に試すことをおすすめします。賃料と売却価格の関係は「収益物件売却の流れ」でも解説しています。

まとめ

  • 空室の原因を「賃料」「募集の届き方」「部屋・条件」に分けてから対策を選ぶ。
  • 賃料は駅距離・面積・築年数を揃えた相場と、㎡単価で比べる。
  • 値下げの前に、AD・フリーレント・初期費用の見直し・入居条件の拡大を試す。
  • 退去を減らすことも、空室期間とコストを減らす対策になる。
  • 値下げは評価額にも影響する。利回りで割り戻して影響額を確認してから判断する。

TLL の管理代行では、周辺の募集・成約賃料と比べた募集条件の見直しから、原状回復の手配、入居者対応までを一括でお受けしています(当社運用物件の平均入居率は98.2%、退去から次の契約までの平均は約27日。直近12か月の自社集計)。詳しくは資産管理・運用サービスをご覧ください。

この記事について

執筆
TLL編集部
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記事中のデータは出典と集計時点を明記しています。相場や制度は変わることがあるため、個別の判断は最新情報と専門家へのご相談のうえで行ってください。

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