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東京の市街地を見下ろした様子(イメージ)

収益物件の価格と銀行評価の関係|積算価格・収益価格の計算と、融資が付きやすい物件の条件

約5分で読めます執筆:TLL編集部

一棟アパートや一棟マンションの買主の多くは、銀行などの融資を使って物件を買います。そのため、買主がいくらまで払えるかは、買主の自己資金と「銀行がその物件にいくら貸すか」でおおむね決まります。

売主にとって銀行評価は直接関係ないように見えますが、評価が低い物件は融資が付きにくく、買主が限られ、価格交渉を受けやすくなります。この記事では、銀行が収益物件を評価する2つの方法(積算価格・収益価格)の計算、築年数と融資期間の関係、融資が付きにくくなる要素を解説します。

売主が銀行評価を知っておくべき理由

買主が支払える金額は「融資額 + 自己資金」です。同じ物件でも、銀行の評価が高く融資額が大きければ買主は高い価格を提示でき、評価が低ければ自己資金を多く用意できる買主しか買えません。

つまり銀行評価は、売却価格の天井と、買主候補の数の両方に影響します。売却前に自分の物件がどう評価されそうかを知っておくと、売出価格の設定や、仲介と買取のどちらを選ぶかの判断に役立ちます。

積算価格:土地と建物を足して評価する

積算価格は、土地と建物それぞれの価値を足して求める評価方法です。考え方は次のとおりです。

  • 土地:路線価(または公示価格など)× 土地面積。形状や接道の状況で補正します。
  • 建物:再調達価格(今同じ建物を建てた場合の㎡単価)× 延床面積 ×(残存年数 ÷ 耐用年数)

再調達価格の単価は金融機関ごとに独自に設定されています。耐用年数は、税務上の法定耐用年数を基準にする金融機関が多く見られます。

構造法定耐用年数(住宅用)
鉄筋コンクリート造(RC)・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC)47年
重量鉄骨造(骨格材の厚さ4mm超)34年
軽量鉄骨造(骨格材の厚さ3mm超4mm以下)27年
軽量鉄骨造(骨格材の厚さ3mm以下)19年
木造22年

出典:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」。

計算例

築20年・RC造、土地150㎡(路線価50万円/㎡)、延床面積400㎡の物件で、再調達価格を20万円/㎡と仮定した場合の例です。

  • 土地:50万円 × 150㎡ = 7,500万円
  • 建物:20万円 × 400㎡ ×(27年 ÷ 47年)≒ 4,596万円
  • 積算価格:約1億2,096万円

実際の評価では、土地の形状・接道・用途地域、建物の状態などで補正されます。あくまで考え方をつかむための例としてご覧ください。

収益価格:家賃収入から評価する

収益価格は、物件が生む収入から価格を求める方法です。代表的なのが直接還元法で、「年間の純収益(家賃収入 − 運営経費)÷ 還元利回り」で計算します。

たとえば年間の家賃収入が1,000万円、運営経費が200万円なら純収益は800万円です。還元利回りを5%とすると、収益価格は1億6,000万円になります。還元利回りはエリア・築年数・構造によって変わり、同じ純収益でも利回りが0.5%違うだけで価格は大きく変わります。エリアごとの利回りの目安は「収益物件売却の流れ」で、Urbalytics の売出事例をもとに紹介しています。

積算価格と収益価格、どちらが重視されるか

どちらを重視するかは金融機関によって異なり、両方を見て低いほうを基準にする金融機関もあります。東京都心部の物件は土地が高く家賃も高いため、市場で取引される価格は積算価格を上回ることが多く、その差額は買主の自己資金で埋めることになります。

逆に、土地の価値が高く積算価格が売却価格に近い物件は、融資が付きやすく買主の幅が広がります。前の例では、積算価格(約1.2億円)と収益価格(1.6億円)に約4,000万円の差があり、積算を重視する金融機関で融資を受ける買主は、その分を自己資金で用意する必要があります。

融資期間:耐用年数と築年数の関係

融資期間は、「法定耐用年数 − 築年数」を目安に上限を決める金融機関が多く見られます(独自の経済的耐用年数を使う金融機関もあります)。築年数が進むほど融資期間が短くなり、買主の毎年の返済額が増えます。

1億円を金利2%で借りた場合の年間返済額(元利均等返済)は次のとおりです。

融資期間年間返済額(概算)
30年約444万円
20年約607万円
10年約1,104万円

年間家賃が1,000万円の物件でも、融資期間が10年しか取れなければ返済額が家賃を上回ります。こうした物件は、融資期間を長く取れる金融機関を使う買主や、現金で買う買主に絞られます。

融資が付きにくくなる要素

  • 旧耐震基準:1981年6月1日より前に建築確認を受けた建物。
  • 検査済証がない:建築確認どおりに建てられたことを示す書類がないと、融資を断られることがあります。
  • 容積率・建蔽率の超過:増築などで基準を超えている建物(違反建築)。
  • 再建築不可・借地権:土地の担保価値が低く評価されやすい物件。
  • 耐用年数を超えた建物:特に木造・軽量鉄骨の築古物件。

こうした物件でも、現金で買う投資家や、不動産会社による買取で売却できる場合があります。詳しくは「再建築不可・借地権・築古アパートの売却」をご覧ください。

まとめ

  • 買主が払える金額は「融資額 + 自己資金」。銀行評価は売却価格と買主の数に影響する。
  • 積算価格は土地(路線価 × 面積)と建物(再調達価格 × 延床 × 残存年数の割合)の合計。
  • 収益価格は「純収益 ÷ 還元利回り」。都市部では積算価格を上回ることが多い。
  • 融資期間は「法定耐用年数 − 築年数」が目安になりやすく、築古ほど返済負担が重くなる。
  • 旧耐震・検査済証なし・違反建築などは融資が付きにくい。現金買主や買取も選択肢になる。

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